「人生で初めて本気で人を好きになった」
「毎日LINEをして、一緒に映画を見て、自分たちの未来について語り合った」
でも、ある日突然その関係は終わりを迎える――その瞬間、心にぽっかり穴が開いたような感覚に襲われたことがあるかもしれません。
そして失恋の傷は思いのほか、私たちのうちに深い傷を残すことが新たな研究で明らかになりました。
南アフリカ・ステレンボッシュ大学(Stellenbosch University)の最新研究で、恋人との破局は脳に「トラウマ体験と同じような脳活動」を引き起こすことが判明したのです。
研究の詳細は2024年7月1日付で学術誌『Journal of Affective Disorders』に掲載されています。
目次
- 本当に「ただの失恋」なのか?脳が示した“本気の痛み”
- 恋の終わりは心にどんな影響をもたらすのか?
本当に「ただの失恋」なのか?脳が示した“本気の痛み”

この研究では、破局を「人生で特につらかった経験」と答えた18歳から25歳の若者42人に対して、脳の働きを調べるfMRI(機能的磁気共鳴画像)検査を行いました。
彼らには、かつての恋人の写真を見せたり、別れを思い出させるような画像を見せたりして、そのとき脳がどう反応するかを測定したのです。
すると驚くべきことに、記憶を司る「海馬」や、恐怖や不安に反応する「扁桃体(へんとうたい)」が強く反応していたのです。
実はこの2つの脳の部位は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者でも活性化が確認される場所です。
つまり、脳は恋人との破局を、交通事故や暴力体験のような「トラウマ」として受け止めている可能性があるということになります。
しかも、反応の強さには個人差がありました。
たとえば、
・自分から別れを切り出していない人
・相手に裏切られたと感じている人
・まだ元恋人に好意を持っている人