映画は我々に夢や感動を与えてくれるが、時としてそれは歪んだ心にとって「犯罪の設計図」になってしまうことがある。フィクションと現実の境界線を見失い、スクリーンの中の残虐なシーンを現実世界で再現しようとした殺人鬼たち。
彼らはなぜ映画を模倣したのか。ここでは世界を震撼させた5つの衝撃的な事件を紹介する。
1. 『スクリーム』:ホラー映画をなぞった高校生殺人鬼
2006年9月、アイダホ州の高校生ブライアン・ドレイパーとトーリー・アダムシック(共に16歳)は、同級生のキャシー・ジョー・ストッダートを約30回にわたって刺し、殺害した。彼らが模倣したのは、大ヒットホラー映画『スクリーム』だった。
二人はホラー映画と連続殺人鬼に異常な執着を見せ、犯行計画をビデオカメラで撮影。「これで俺たちも伝説になれる」と笑いながら語っていた。事件の夜、彼らは映画の殺人鬼「ゴーストフェイス」のようなマスクを被り、家の電源を落としてキャシーを恐怖に陥れた後、襲いかかった。
自分たちの犯行を「映画の続編」のように捉えていた彼らの姿は、フィクションが現実を侵食する恐ろしさを見せつけた。二人は終身刑となっている。
2. 『タクシードライバー』:大女優に捧げた大統領暗殺未遂
1981年3月、ジョン・ヒンクレー・ジュニアはロナルド・レーガン大統領を白昼堂々銃撃した。彼の動機は政治的なものではなく、女優ジョディ・フォスターの気を引くためという、あまりに歪んだものだった。
彼は映画『タクシードライバー』を何十回も鑑賞し、主人公トラヴィス・ビックルの孤独や暴力性に自身を重ねていた。フォスターへのストーキングを繰り返した末、「劇的な行動を起こせば、彼女が振り向いてくれる」と信じ込み、凶行に及んだのだ。
大統領は一命をとりとめたものの、報道官が重傷を負う大惨事となった。フィクションへの倒錯した愛情が、現実世界で大統領の命を脅かしたこの事件は社会に大きな衝撃を与えた。