「自分に自信を持とう」「自己肯定感を高めよう」というメッセージは、今や自己啓発や教育の世界では定番になっています。確かに、自尊心は健やかな精神状態や人間関係に不可欠な要素。しかし、それが行き過ぎて「自分は特別」「自分はもっと評価されるべきだ」といった過大評価へと傾くと、むしろ人生にさまざまな弊害をもたらす可能性も。

そこでSirabee取材班は、自分を過大評価すると起こる弊害について聞いてみました。

■誤った判断を下す

「自分を過大評価すると、自分が正しい! って思い込むから、誤った判断もしやすい。途中で『間違いかも…』と薄々気づいても変なプライドから引くに引けなくなって押し通したり。

無駄なミスや周りからの反感を買わないためにも、自分を過信しない方がいい」(30代・女性)

■現実とのギャップに苦しむ

「自分は部活で部長もやっていたし、学歴もあるから大手に内定がもらえるはずと思っていたのに、1社も内定がもらえず…。他の同僚よりも仕事ができるから昇進も早いはずと思っていたけど、ミスが多くコミュニケーションもうまく取れずで他の同僚に追い抜かれる…。

そうなると現実とのギャップに苦しみ、自分に絶望する人もいる。ある程度の自己暗示は必要だけど、自己評価の精度が低く、自分はできると錯覚するのは苦しむ原因」(20代・女性)

■学びの機会を失う

「自分を過大評価している人って大抵、おごり高ぶって人に教える立場であると過信して、人から学ぼうとしない。むしろ変なプライドのせいで、わからないこともわからないと聞かない。

そうなると学びの機会を失ってみんなに置いていかれ、最終みんなと自分を比較して自己否定したりする」(30代・女性)

自尊心は人生を前向きに生きるうえで欠かせない心理的基盤です。しかしそれが、現実を見失うほどの過大評価へと傾くと、自らの成長を妨げ、他者との信頼関係を損なうなど、多くの弊害を引き起こします。

本当の価値のある自信とは、自分の限界を知りつつも、自分の可能性を信じる姿勢であり、他人を尊重しながら、自分らしく生きる力です。過大評価ではなく、等身大の自分を見つめる習慣こそが、真に健全な自尊心を育てる第一歩なのではないでしょうか。

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(取材・文/Sirabee 編集部・   美佳