ポルトガルにビーバーが復活したことで、考慮すべきことも出てきます。

ビーバーのダムは時に農地の浸水やインフラの損傷といった問題も引き起こします。

実際、ドイツやフランス、スイスなどの国々では、農家とビーバーの共存をめぐる摩擦が生まれており、様々な対策が行われています。

ポルトガルでも、こうした対策を「問題が起きてから」ではなく「事前に準備しておくこと」が重要になります。

その一歩として、今年の秋に開催される2回Rewilding会議では、ビーバーの共存策が大きなテーマとなる予定です。

自然の恩恵を受けつつ、人間の暮らしとの摩擦を最小限に抑えるためには、科学と地域社会の対話が不可欠です。

500年という空白の期間経て、ようやくビーバーがポルトガルの地に帰ってきたという報告は、非常に喜ばしいものです。

もしかしたら、私たちが暮らす地域でも、粘り強く環境を改善していくことで、かつて消えてしまった生き物たちが復活の兆しを見せてくれるかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

More than 500 years later, the Beaver is back in Portugal
https://rewilding-portugal.com/news/more-than-500-years-later-the-beaver-is-back-in-portugal/

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部