日本商工会議所は17日、観光需要の一段の喚起に向けた政策提言「『観光立国推進基本計画』改定に向けた意見」を公表した。三大都市圏に集中しがちな訪日客の渡航先を分散させる課題を克服するため、地域の歴史や文化を生かした観光拠点「ユニークベニュー」の整備について国の後押しを求めた。近く国土交通相に手交する方針。

 訪日客は昨年、過去最高の3687万人となり、消費額も8.1兆円に達した。ただ渡航は首都圏や関西、中部に偏り、潜在的に豊かな価値を持つとされる他の地域への訪問は不十分にとどまっている。

 提言は、国が各地の需要掘り起こしに向け、歴史的建造物の復元で必要となる文化財保護や建築基準などにまつわる申請手続きを一本化したり、事業化に向けて自治体・企業と伴走しつつ支援したりするよう要請した。

 先行例として、神奈川県横須賀や広島県呉、長崎県佐世保、京都府舞鶴の4市が共通して持つ旧軍港の名残をとどめる拠点で、多言語案内の表示やガイドの育成で協力していることを紹介。茨城県結城市も神社仏閣や酒蔵をステージとして活用した音楽祭を開いて国内外の若年層客を引き寄せ、雇用創出につなげているという。

 日商担当者は「観光関係者は地域と緊密な関係を築き、オーバーツーリズムを避けながら情報発信を強化していく必要がある」と訴えた。(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/07/17-18:43)