アーセナル 写真:Getty Images

 2001年7月、プレミアリーグのアーセナルは、J1のガンバ大阪から当時の日本代表MF稲本潤一(2024年引退)を1年間の期限付きで獲得し、クラブ史上初となるアジア人選手を迎え入れた。翌年に日本で開催される2002年のFIFAワールドカップを控え、当時注目の移籍となった。

 アーセナル公式サイトは、2025年7月23日からスタートするシンガポールおよび香港で行うアジアツアーを前に、クラブ史上初のアジア人選手としての稲本の足跡を振り返っている。

 公式サイトの特集記事によれば、2001年当時のアーセナルはアーセン・べンゲル監督(1996-2018)の下、プレミアリーグで過去3シーズン連続2位に甘んじていた。そのため、クラブは同年、巻き返しを狙って多くの補強を実施した。稲本は2013年にクラブ公式インタビューで「有名選手の多いビッグクラブでの経験は非常に貴重だった」と述べている。

 中でも最も印象に残った選手として稲本が名を挙げたのは、オランダ代表FWデニス・ベルカンプ(2006年引退)だ。稲本はベルカンプの練習や試合に向き合う姿勢が強く印象に残ったという。稲本の試合出場は限られていたが、「日々の練習を通して多くを学んだ」とも回想している。

 また、日本における稲本自身の高い知名度がイングランドでも注目を集め、現地メディアからの取材が殺到したことに加え、言語や文化の違いにも直面し、移籍当初はホームシックを感じていたようだ。

 その中で心の支えとなったのが、1995-1996年にJ1の名古屋グランパスエイト(当時のクラブ名)を指揮した経験を持つアーセン・べンゲル監督の存在だったと、同記事で紹介されている。

 稲本はアーセナル時代(2001-2002)にはプレミアリーグやFAカップでの出場こそなかったが、二冠を達成したチームの公式メンバーとして記録されており、クラブの歴史に名を刻んでいる。