エビといえば、水の中に住むのが一般的です。

しかしそんな常識を覆すような驚きのエビが、インドネシアの秘境・サイクロプス山脈にいるのです。

2023年に科学者たちがこの山奥で出会ったのは、なんと樹上で暮らすエビ

しかもこのエビは、これまで知られていなかったまったく新しい属に属する種類でした。

一体どのようにして暮らしているのでしょうか?

目次

  • エビが「木の上」に?科学者を驚かせた新属の発見
  • もうひとつの奇跡:絶滅種の哺乳類も再発見

エビが「木の上」に?科学者を驚かせた新属の発見

2023年、インドネシア・パプア州のサイクロプス山脈に入った英オックスフォード大学の探検隊は、非常に過酷な環境のなかで調査を行っていました。

灼熱の暑さ、頻発する地震、マラリア感染、さらには毒ヘビやヒルとの遭遇……。

まさに命がけのフィールドワークです。

しかし、その苦労に見合うだけの「奇跡」が待っていました。

彼らは標高の高い森林地帯で、これまで科学的に記録されたことのない陸上性のエビを発見したのです。

発見されたエビは、従来の海辺や川辺に生息する甲殻類とは明らかに異なり、地上や樹上で生活していることが確認されました。

実際の画像がこちら。

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樹上に暮らすエビ/ Credit: Expedition Cyclops

なお分類上はまったく新しい属(genus)にあたることも判明しました。

探検隊の主任昆虫学者レオニダス=ロマノス・ダヴラノグル博士はこう語ります。

「森林の奥深くでこのエビを見つけたとき、私たちは非常に驚きました。彼らの仲間は通常、海辺に生息しているものですから」

しかも、このエビは水中に完全に沈まずとも生存できる可能性があります。

これはサイクロプス山脈の極めて高い湿度と降水量によって、エビが水の中にいなくても呼吸できるように進化したことを示唆しています。

エビは通常、エラを使って水中から酸素を取り込んで呼吸しますが、この新属はおそらく雨や空気中の水分をうまく利用して生存しているのでしょう。

もうひとつの奇跡:絶滅種の哺乳類も再発見