赤い太陽の周りで「隠れた隣人」を探す旅

 TOI-1846 bの主星は、太陽よりもずっと小さく暗い「赤色矮星」だ。実は、こうした星は私たちの天の川銀河にある恒星の約75%を占める、ありふれた存在。小さくて暗いため、周りを回る惑星の影を検出しやすく、生命探査の主要なターゲットとされている。TESSはこれまでに7600以上の候補を発見し、630以上の惑星を確定させてきたが、今回のような発見はその中でも特に重要だ。

 今後、ハワイの望遠鏡が惑星の重力による恒星のわずかな“ふらつき”を捉え、その正確な質量を明らかにしたり、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がその大気に水蒸気やメタンの兆候を探したりすることになるだろう。さらに、軌道のわずかなズレから、さらに外側を回る「隠れた隣人」、つまり第二の惑星が見つかる可能性もある。

 実は最近、137光年先にも「TOI-715 b」という似たようなスーパーアースが発見されている。こうした発見が積み重なることで、無数の赤い太陽の周りに、どれだけの生命を宿す可能性のある世界が隠れているのか、その壮大なパズルが少しずつ解き明かされていくのだ。

 154光年先から届いたかすかな光は、我々がまだ見ぬ「第二の地球」への道しるべなのかもしれない。宇宙の隣人探しは、まだ始まったばかりだ。

参考:Daily Mail OnlineEarth.com、ほか

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