実際、自然界でもウツボはこうしたエビの存在を受け入れており、まるで「ちょっと掃除してくれ~」と言わんばかりに、口をぽかんと開けたままじっとしていることもあるとか。

水族館でその様子を見た私は、「あんな怖そうな魚なのに、なんだかぼんやり口を開けていて可愛いな……」と、ちょっとほっこりしてしまいました。

海の生き物たちの共生関係

このような関係は「共生」と呼ばれ、お互いに利益を得ながら暮らしている状態です。

エビはウツボに守られながら安全に食べ物(寄生虫や食べ残しなど)を得られ、ウツボは体を清潔に保てる。まさにWin-Win、持ちつ持たれつの関係なのです。

海の中ではこうした共生関係が実に多様で、たとえばハゼとテッポウエビ、イソギンチャクとクマノミなど、異なる種類の生き物が協力して生きているケースがたくさんあります。

見た目では想像もつかない関係性が、水中では自然に成立しているのです。

見た目じゃわからない海のつながり

ウツボとエビの姿を見ていると、「怖そうなもの=悪い」というわけではないし、「小さいから弱い」とも限らないと、ちょっと考えさせられますね。

そして何より、あのギャング顔のウツボが「掃除待ち」で大人しく口を開けている様子は、ちょっと笑えて、なんだか癒されてしまうのです。

次に水族館へ行くことがあれば、ぜひウツボの周りをよく観察してみてください。もしかすると、小さなエビが今日もせっせとお仕事中かもしれません。

 

<halハルカ/サカナトライター>