シンガポールを拠点とする日系コンテナ船事業会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)のジェレミー・ニクソン最高経営責任者(CEO)は、25日付の経済紙ビジネス・タイムズに掲載されたインタビューで、「シンガポールに本社を置くことは、より環境に配慮した次世代の船隊を構築する上で明確な利点がある」と述べ、脱炭素化戦略を推進する考えを改めて強調した。
ONEは約50隻の新造船を段階的に建造中。うち32隻の「Sクラス」コンテナ船はメタノールやアンモニアといった次世代燃料への改修が可能な設計で、すべてシンガポール船籍として登録される予定だという。さらに、液化天然ガス(LNG)を使用する新船8隻も加わる。これらの船舶は、環境性能の高い船に対して登録料や港湾使用料などの優遇措置を提供する「グリーン船舶プログラム」の対象となる。
ONEは、2030年までに温室効果ガス排出量を18年比で60%削減し、50年までに排出実質ゼロを実現するという長期目標を掲げている。ニクソン氏は、ONEとシンガポール政府の間には脱炭素化に対する共通のビジョンがあると述べ、同社がシンガポールに拠点を置く海運脱炭素化推進非営利団体「海事脱炭素化国際センター(GCMD)」の創設パートナーを務めていることにも言及。「シンガポールは、規制整備から燃料供給体制まで脱炭素化を後押しする実効性あるエコシステムを有しており、官民連携によって世界的なグリーン・シッピング拠点としての地位を築いている」と強調した。
さらにニクソン氏は、ONEが技術革新によって運航の効率化にも取り組んでいると説明。過去5年間、人工知能(AI)や機械学習を活用した社内システムの開発に重点的に取り組んできたとし、最適航路の選定や悪天候の回避、コンテナ予約数の予測といった運航支援に役立てているという。これにより、燃料消費の削減や空コンテナ輸送の抑制など、環境負荷の低減とコスト効率の向上を同時に実現するという。(シンガポール時事) (記事提供元=時事通信社) (2025/06/25-13:46)