ギャンブルのような場面では、人間は損失の可能性があるというだけで強い不安を感じ、その不安を回避するために、利益は少なくても確実な方を選ぶ傾向があります。仮にリスクのある選択肢が長期的に有利でも、目の前の損失を恐れる気持ちの方が強く働いてしまうのです。
つまり人間は本質的にギャンブルに向かない性質を備えている訳です。
人間が持つこうした心理的なクセは、日常生活のさまざまな意思決定に影響を与えています。株式投資でも、長期的に利益が出ると分かっていても目先の損失を恐れてしまい、結果として利益を逃してしまうということは珍しくありません。
しかし豊富な青い光を照射すると様子が違ってきます。
青みが強い照明の下では、参加者たちは明らかにリスクのある選択を積極的に取るようになりました。
具体的にはリスクがあるギャンブルを選んだ男性参加者は60.27%で、女性参加者39.7%と両方ともかなり増加しました。
つまり、青白い光を浴びると人は損失をそれほど怖がらなくなり、「まあ負けても仕方ないか」と考えやすくなったのです。
この違いは統計的にもはっきりと確認され、特に損失を恐れる心理の程度を表す「損失回避係数(λ)」という数値が、青い光の環境では大きく低下したのです。
研究チームはこの結果を、「青色が少ない照明環境では、参加者は『100ドルを失う痛み』を『100ドルを得る喜び』よりずっと強く感じていました。しかし、青色の強い照明下ではその痛みが薄れ、人々は損することをそれほど悪いことと感じなくなったのです」と説明しています。
また、数値を比較してもわかるように、男女の違いも興味深い結果を示しました。
男性は特に青色の光の影響を受けやすく、普段よりずっと大胆にリスクを取るようになったのです。
女性も青い光の下では普段より少し大胆になりましたが、それでも男性ほどの積極性は示さず、全体的に慎重さを維持していました。