このアプローチは様々な場面で活用できます。職場ではチームメンバーとの協働や上司・部下との関係改善に役立ちます。友人関係では新しい友人作りや既存の友情の深化につながります。

家族間では世代を超えたコミュニケーションの改善が期待でき、地域活動や趣味のグループ、さらにはSNSやリモートワークといったオンラインでの関係構築にも応用可能です。

健全な関係が築けているかどうかは、いくつかの観点から確認できます。お互いが自分らしくいられること、意見の相違があっても建設的に話し合えること、相手の成功を心から喜べること、困ったときに頼り合えること、そして適度な距離感を保てることなどが、良好な関係性の証と言えるでしょう。

実践のための第一歩

今日から始められる小さな一歩として、次に誰かと話すとき、自分が話す時間と聞く時間の割合を意識してみてください。相手の良いところを見つけたら、漠然とした褒め言葉ではなく具体的に伝えることを心がけましょう。

また、「なぜそうしたの?」という詰問調ではなく、「どんな気持ちだった?」と感情に焦点を当てた質問をしてみることも効果的です。自分の感情や考えを伝える際も、「私はこう感じる」という形で表現する練習をすることで、相手を責めることなく自分の気持ちを伝えられるようになります。

人間関係に「正解」はありません。それぞれの関係性、それぞれの瞬間に、最適なあり方は変わります。大切なのは、相手も自分も一人の人間として尊重し、共に成長していこうとする姿勢です。このような基本的な心構えこそが、あらゆる人間関係を豊かにする土台となるのです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)