一般的にブラックホールは、大質量の恒星が寿命を迎え、核融合が止まって自己崩壊するときに誕生します。

その際に生まれるブラックホールの質量は、太陽の数倍から数十倍程度が限界と考えられてきました。

つまり、100倍を超えるようなブラックホールは、通常の恒星進化モデルでは説明がつかないのです。

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LIGOの検出器、左がワシントン州に、右がルイジアナ州にある/Credit: Caltech(2025)

この“質量の壁”を越えて存在するブラックホールの正体として、有力視されているのが「階層的合体(ハイアラーキカル・マージ)」です。

これは小さなブラックホール同士が何度も合体を繰り返し、最終的に超大質量のブラックホールが形成されるというシナリオです。

今回の観測も、まさにその証拠の一つと考えられます。

要するに、今回合体した2つのブラックホールもそれぞれ、以前により小さなブラックホール同士が合体して生まれた可能性があるということです。

本研究に参加したカーディフ大学のマーク・ハナム氏も「これは私たちが重力波で観測した中で最も質量の大きいブラックホール連星であり、ブラックホールの形成理論にとって大きな挑戦です」と述べています。

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参考文献

LIGO Detects Most Massive Black Hole Merger to Date
https://www.caltech.edu/about/news/ligo-detects-most-massive-black-hole-merger-to-date

Scientists detect biggest ever merger of two massive black holes
https://www.theguardian.com/science/2025/jul/14/scientists-detect-biggest-ever-merger-of-two-massive-black-holes