トラックや貨物車(ライトバン、1BOXバン)の車両後方には、「最大積載量○○kg」というステッカーが貼られています。これは、当該車両が積み込める荷物の最大量を表すものです。

中には「最大積載量:積めるだけ(笑)」といったパロディステッカーも見かけますが、貨物車両に積み込み可能な荷物の量は厳密に決められています。積めるだけ積んでしまうと、「過積載」という法令違反になる可能性があるのです。

一般の乗用車ユーザーにはあまり馴染みのない最大積載量や過積載の問題ですが、実は乗用車にも積載量の目安が存在します。

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過積載は重罪!事業者や荷主にも責任が及ぶ

過積載は重罪!事業者や荷主にも責任が及ぶ

意外と知らない?「最大積載量」のラベル貼ってないマイカーは何キロまで積んでいいのか
(画像=©︎Satoshi/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

最大積載量とは、貨物車両が荷台などに積み込める荷物の最大重量を指します。これは車検証に記載されている、いわば車両の重要なスペックの一つです。

最大積載量は以下の計算式で算出されます。

車両総重量-車両重量-(乗車定員×55kg)=最大積載量

この数式で算出された最大積載量を超えて荷物を積み込む行為が、過積載と呼ばれます。

過積載を行った場合、貨物自動車運送事業法や道路交通法などの法令に基づき罰則が与えられます。

罰則の対象は、過積載の車を運転していたドライバーだけでなく、貨物事業を運営する運送事業者や、荷物の積み込みを依頼した荷主にまで及ぶケースも。

中型・大型トラックの例では、過積載の割合が5割未満で違反点数2点、反則金3万円。5割以上10割未満では違反点数3点、反則金4万円。

そして10割(規定量の2倍)以上となると、違反点数6点、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

さらに、当該車両を含む車両使用停止処分や事業停止処分などの重い処分が加えられることもあるため、過積載が交通違反の中でも特に重い罰則が規定されている理由がわかります。

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車の故障や事故に直結する過積載の危険性

車の故障や事故に直結する過積載の危険性

意外と知らない?「最大積載量」のラベル貼ってないマイカーは何キロまで積んでいいのか
(画像=©Zsolt Biczó/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

過積載が重い罰則の違反にあたる理由は、重大な事故に直結するからです。

車の設計時には、それぞれに想定される積載量(これが最大積載量となる)を決め、強度や大きさ、エンジンやブレーキのキャパシティが計算されます。つまり、設計時の想定より重い状態で車を動かすことは、車の損傷に直結する行為なのです。

特に危険な悪影響として挙げられるのが、重量増による制動力の低下です。同じ速度で動く物体を停止させる際、より大きな力が必要なのは物体の重量が大きい方であるのは想像できるでしょう。過積載状態の車では、車両設計上の制動力では十分に車を停止させることができず、制動距離が伸びてしまう、つまり、ブレーキが効きにくくなるのです。

さらに、重ければ重いほど物体は運動エネルギーが大きくなります。衝突などの事故が発生したとき、重い車ほどその衝撃が大きくなるため、重大な事故になりやすいです。軽自動車と大型トラック、同じ速度で追突されたらどちらのほうが被害が大きいか、答えは明確でしょう。

このように、過積載になると車は想定外の動きをするおそれが高くなり、いざというときのブレーキの効きが悪く、さらに衝突時の衝撃も大きくなるため、危険な状態となります。過積載は、安全を著しく阻害する行為なのです。

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乗用車にはどのくらいの荷物を積んでいいのか?

乗用車にはどのくらいの荷物を積んでいいのか?

意外と知らない?「最大積載量」のラベル貼ってないマイカーは何キロまで積んでいいのか
(画像=@kelly marken/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

貨物車であれば、最大積載量は車検証に記載されていますが、乗用車の場合、具体的な数値は規定されていません。乗用車はどのくらいの荷物を積むことができるのでしょうか。

乗用車の場合、車両総重量+αが設計上の最大重量となります。自動車メーカー数社に問い合わせたところ、「基本的には乗車定員数×55Kgに加えて、乗車定員数×10Kg(手荷物の想定)を合計した重量の範囲内に抑えてほしい」という回答がありました。

つまり、5人乗りのSUVの場合、55Kg×5=275Kgと手荷物分の50Kgを加えた、325Kgが最大積載量の目安となります。この重量は人+モノの合計になるため、ドライバーや乗員の体重によって、載せることができる荷物の重量は変わってきます。

マイカーで引っ越しを行う際などに、紙や本を詰め込んだ段ボールを車一杯に積み込むと、車が許容できる積載重量を大きく超えることがあります。この状態で車を動かすと、サスペンションやブレーキ、エンジンなどに大きな負担をかけるとともに、ボディが大きく沈み込むことによって下回りの破損につながりかねません。また、過積載の貨物車と同様に、曲がる・止まるといった動作が難しくなり、事故の原因にもなるのです。

荷物の積みすぎは百害あって一利なしです。マイカーに載せることができる重量を把握しておき、多くの荷物を積み込む際や、フル乗車する際には、十分に気を付けて運転してください。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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