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日本経済新聞に「50歳からの積み立て投資」という記事が掲載されています。65歳までに積立投資で資産を作り、それを取り崩して老後資金にしようというフィナンシャルプランの紹介です(図表も同紙から)。
65歳で2000万円の資産を保有することができたと仮定して、それを年平均3%で運用しながら毎年132万円(月11万円)を取り崩すと(定額法)、80歳で資金が底をつく計算になります。取り崩し額を定額ではなく定率にするなど少なくしていけば94歳まで期間が伸びると試算しています。
しかし、実際に2000万円の資産を保有していた人がこのようなプランで安心できるのでしょうか。
そもそも金融資産だけを使って年平均3%で運用するのは簡単ではありません。マーケット環境によっては資産が減る場合も充分あり得ます。もし2000万円の資産が1800万円に減ってしまったとすれば、多くの人は不安に感じてその中から毎月資産を取り崩して生活費に充てる当てるのをやめるはずです。
また94歳まで資金が無くならないプランで生活していって、94歳に近づいていったらどうなるでしょうか?時間が経てば経つほど資産金額が少なくなっていきますから、安心よりも不安が大きくなります。
どこかの時点で取り崩すのをやめて資産を減らさないように節約して生活するようになると思います。
さらに94歳までの資金で充分なのかもわかりません。なぜなら自分が何歳まで生きるかわからないからです。テクノロジーの進歩によって100歳まで生きる人も今や珍しくありません。
このような資産を取り崩すやり方では「長生きリスク」をヘッジできないのです。現役時代に蓄えた資金を老後に取り崩すファイナンシャルプランはもはや成り立たなくなりました。
私の提案は定期的に収入が入ってくるインカム型資産を保有することです。その代表が中古ワンルームマンションです。賃貸利回りが下がったとはいえ、年利4%弱の賃貸収入が入ってきます。2000万円なら年間80万円になります。資産を取り崩すよりは使えるお金は少なくなりますが、元本が減っていく恐怖からは解放されます。