国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2025年分の土地の路線価(1月1日時点)を公表した。住宅地や商業地など標準宅地の評価基準額は全国平均で前年比2.7%プラスとなり、4年連続で上昇した。
現在の評価基準額の計算方式が導入された10年以降で、上昇率は最大となった。背景には、住宅やホテル、インバウンド(訪日客)向けリゾート需要の高まりがあるという。
都道府県別では35都道府県で上昇した。東京が上昇率8.1%と最も高く、沖縄が6.3%で続いた。都心部でのオフィスの空室率低下や店舗、ホテル需要の拡大が影響したとみられる。
変動率が横ばいだった県はなく、下落したのは新潟や岐阜など12県で、前年より4県減った。下落率も7県で縮小した。
都道府県庁所在地の最高路線価の変動を見ると、上昇が35(前年37)で、横ばい11(同9)、下落1(同1)。上昇率が最も高かったのはさいたま市の11.9%で、千葉市の11.2%が続いた。ターミナル駅の大宮、千葉両駅のロータリー付近で、周辺の再開発などが影響しているとみられる。
路線価の最高額は東京・銀座の鳩居堂前で、1平方メートル当たり4808万円。40年連続トップで前年比8.7%上昇し、過去最高を更新した。1万円札1枚当たりの面積で、約58万5000円となる。
路線価は午前0時を評価時点とするため、昨年1月1日の夕方に発生した能登半島地震の影響は、今年分で初めて反映された。大きな被害を受けた石川県輪島市の朝市通りは前年比16.7%マイナス、同七尾市の七尾港線通りでも前年比4.1%マイナスと大幅な下落となった。
◇路線価の対前年増減率 25年分 24年分 23年分 北海道 2.4 5.2 6.8 青 森 0.5 0.0 ▲ 0.3 岩 手 0.2 0.6 0.1 宮 城 4.4 5.1 4.4 秋 田 1.1 0.9 0.2 山 形 0.5 0.3 0.2 福 島 1.2 0.9 0.4 茨 城 1.0 0.7 0.4 栃 木 0.1 ▲ 0.2 ▲ 0.1 群 馬 ▲ 0.1 ▲ 0.5 ▲ 0.7 埼 玉 2.1 2.1 1.6 千 葉 4.3 4.0 2.4 東 京 8.1 5.3 3.2 神奈川 4.4 3.6 2.0 新 潟 ▲ 0.6 ▲ 0.5 ▲ 0.6 富 山 ▲ 0.4 ▲ 0.7 ▲ 0.1 石 川 0.7 1.4 1.1 福 井 ▲ 0.1 ▲ 0.5 ▲ 1.0 山 梨 ▲ 0.4 ▲ 0.2 ▲ 0.6 長 野 0.6 0.4 0.0 岐 阜 ▲ 0.1 ▲ 0.2 ▲ 0.5 静 岡 0.2 0.0 ▲ 0.3 愛 知 2.8 3.2 2.6 三 重 0.4 0.1 ▲ 0.4 滋 賀 0.5 0.2 0.0 京 都 3.7 2.4 1.3 大 阪 4.4 3.1 1.4 兵 庫 2.0 1.2 0.5 奈 良 ▲ 1.0 ▲ 0.2 ▲ 0.2 和歌山 ▲ 0.7 ▲ 1.0 ▲ 1.2 鳥 取 0.2 ▲ 0.2 ▲ 0.3 島 根 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.2 岡 山 1.9 1.7 1.3 広 島 2.3 2.4 1.4 山 口 0.8 0.6 0.4 徳 島 ▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.7 香 川 ▲ 0.1 ▲ 0.3 ▲ 0.6 愛 媛 ▲ 0.5 ▲ 0.8 ▲ 0.9 高 知 ▲ 0.2 ▲ 0.1 ▲ 0.3 福 岡 6.0 5.8 4.5 佐 賀 3.3 2.7 1.9 長 崎 1.1 0.8 0.6 熊 本 2.8 2.7 2.3 大 分 1.7 1.8 0.7 宮 崎 0.4 0.1 ▲ 0.2 鹿児島 0.1 ▲ 0.7 ▲ 0.2 沖 縄 6.3 5.6 3.6 全 国 2.7 2.3 1.5 ※平均値、単位は%、▲はマイナス (了) (記事提供元=時事通信社) (2025/07/01-11:13)