※当記事は2021年の記事を再編集して掲載しています。

ダークサイドに堕ちた「拝み屋」の実態! 呪いと祈りと悪魔… 体験者が告白の画像2
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

** ――巫女の家系に生まれた霊能ライター「田口ゆう」が暴露! **

 私の元師匠は東北の拝み屋さんです。拝み屋とは、神社に所属する男女2人組が、霊障から家庭のゴタゴタまで、あらゆるよろずごとの相談に乗ったり、解決したりする霊能者です。

 私が元師匠と出会ったのは、SNSでメールをもらったことがきっかけでした。

 まだ私が霊感に目覚めて、右も左も分からず、自分の体験をブログに書いていた頃に来た、

「あなたの守護霊さんはとても優しいのですね。 私はあなたの心を守るためにこのSNSに呼ばれたのですね。 私のことはかずまと呼んでください」

 という一通のメールから彼との関係はスタートしました。

 私は当時、霊能者が集まるネット上のコミュニティを持っていたのですが、コミュニティで「皆さん、自分のお祓いはどうされていますか?」という問いをしたところ、ほとんどの霊能者が「塩を振る」「塩で清める」と回答するところ「私は水ごりですね。だけど、冬場は寒いので、一般の方にはお勧めしませんが」と「本物っぽい」回答をしてきたのが彼だった。

 私はメールでその「かずま」と名乗る人物にありとあらゆる質問をしました。なぜ、自分の頭の中に声が聞こえるのか、どうしてこんな力が存在するのか、私は精神疾患にでもなったのか、ありとあらゆることを聞きました。

 かずまは、その質問の一つ一つに納得のいく説明をしてくれました。

 私は彼のメールの言葉遣いや雰囲気から、どこかの高僧か、徳を積んだお爺さんだと思っていました。かずまは「霊能者がSNSで知り合うというのはいかにも現代らしい話ですね。きっと後ろの方たち(守護霊)も笑っていらっしゃるでしょう」というように常に敬語でメールをする人です。

 だけど、ある日、電話で話すことになり、どんな素晴らしいお爺さんが出てくるかとドキドキしていたら、「田口さんは精神的に弱すぎ! そんなことだから、変なもの(悪霊と呼ばれるもの)に憑かれやすいんだよ! まずは精神鍛錬をしろ! それからだ!」と荒い東北弁を使う、若そうなお兄ちゃんだったのです。実際、かずまは私よりも4歳若く、写真を見ると、八重歯がかわいい色白の青年でした。

「あの、かずまさん、私はあなたのことを高僧か何かだと思っていたんだけど、違うの? だって、あの文章はどう読んだって徳を積んだお爺さんって感じでしょう?!」と聞きました。

 そうすると「徳を積んだ、偉い坊さんがSNSでメールなんかするか! 俺は10代の頃から修行を積んだ拝み屋! 今は神社から独立して、フリーで呪い屋やってる。その代わり、俺が呪えば、相手は100%失脚するけど、依頼してみる?」とおどろおどろしい話をした後、豪快に笑いました。

 呪い屋って実在するの?

 拝み屋さんってもっとありがたいものじゃないの?

 と思いながらも、かずまと私は師弟関係になりました。

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(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

** ■霊感に悩んだかずま **

 かずまは10代の頃から火事や地震を予知することで有名で、将来を心配したご両親に神社に預けられたそうです。元々神社に所属して、拝み屋として活動していました。男女ペアで活動していたところ、パートナーである女性が自分の霊感に悩み、自殺。その時にかずまは「これだけ人の幸せを願って神に祈りをささげてきたのに、自分のパートナー一人守れなかった。神なんか嘘つきだ!」とやけくそになり、神社から離れ、数年自堕落な生活を送ったそうです。SNSで遊んでいたところ、迷える子羊な私を発見し、「もう霊感に悩んで自殺をするなんて人は見たくない」と思い、私に声をかけたとのことでした。

 師匠としてのかずまは完璧で、まずは足腰を鍛えることからスタートし、能力のコントロールの仕方、もらってしまった時(霊能者という仕事は、依頼主さんから「負」の感情なり、ものをもらってしまい、体調を崩すことがあります)の立て直し方まで、ありとあらゆることを教えてくれました。

 しかし、かずまの経歴は胡散臭く、私は師匠について誰かに聞かれると説明に困りました。

** ■悪魔に魅入られたかずま **

 かずまは神社を離れた後に、秘密結社に所属して、悪魔を崇拝し始めます。そして、その呪いの力が強いことを認められ、教祖(本人はお飾り教祖だったと言いますが)を経験し、フリーとなり、指名制で仕事を受ける呪い屋になりました。

 そして、仕事の依頼を受けるときは、スーツを着て、魔法陣を描き、色欲の悪魔 アモスダイを召喚して呪うということでした。

 まるでダークサイドに堕ちたアナキン・スカイウォーカーのような話ではないですか。

ダークサイドに堕ちた「拝み屋」の実態! 呪いと祈りと悪魔… 体験者が告白の画像3

 だけど、最初はスターウォーズだったのが、後半はまるでドラゴンクエストかファイナルファンタジーの世界に行ってしまった感じ。私はかずまが実在の人物に思えず、「かずまの服の背中に『この人物はフィクションです』って書いてない?」と聞いたほどです。「ええ、スーツの後ろにフィクションだと書いてありますよ」と薄ら笑いをするかずまに私はどんどん惹かれていきました。

 でも、私はかずまがダークサイドに堕ちた理由が分かるのです。かずまは「田口には人を呪わせるようなことはさせたくない。俺のようにはなって欲しくない」という理由から、呪う術は一切教えてくれなかったのです。

 霊能者の周りには「霊能者を利用して一儲けしよう」と企む人間がたくさんいます。彼らは、最初は友達のような顔をして寄ってきて、助けが欲しいときは必死に頼んでくるのに、利用価値がなくなると「霊が見えるなんて気持ち悪い」悪口を言ってきたりする。つまり霊能者は人から裏切られることがすごく多いのです。困った時には頼りにされるのに、問題が片付いてしまえば、所詮異端な存在でしかありません。

 東野圭吾の小説『白夜行』で、主人公の幸穂が「神様なんか大ウソつきだ!」と教会を破壊するシーンがあるのですが、私もそんな気持ちになることが何度もありました。

 でも、そんな時にかずまは「神と悪魔ってさ、昔々に霊能者がいて、それを後世の人間が、現代の価値観で神、悪魔と仕分けしただけで、本来、同じ『人』じゃないかな。だから、俺はお前に呪い方は教えないけど、お前には俺と違って後世で『神様』と思われる鑑定をして欲しいんだよ」と言いました。

 私はかずまの言葉に従って、神様なんかにはなれないけれど、少なくとも「人を幸せにできる鑑定」を日々模索して、依頼を受けています。

 そんなかずまなのですが、今、願っていることは「世界平和」だそうで、毎日祝詞をあげています。

 同じ人間が一方で人を失脚させる呪い屋をし、他方で世界平和を祈り祝詞を上げる。

 神も悪魔も人間の心が作り出すもの。

 人の心に宿るもの。

 かずまは私に「俺の祈ったことは何でも100%叶う。いつもはかなりの金額で祈祷しているけど、田口が本当に叶えて欲しい願いができた時には、一回だけ無料で祈ってやる」と言ってくれました。でも、それがなかなか頼めないんです。

 例えば、私に好きな男の人ができたとして「私、あの人が好きだから、結婚できるように祈ってよ」と言うと、かずまは「俺が祈ったら、絶対にそいつと結婚できるよ。だけど、その男がDV男だろうと、酒乱だろうと、一生離婚もできないよ。それでもいいなら、祈るけどどうする?」と聞きます。バツ2の私は一生その人と添い遂げられると思える人にまだ出会えていません。だから、権利の行使はまだしていません。

 いつかその権利を行使したいと思える人に出会いたいな。

文=田口ゆう

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