本当に重要なのは「海水準」への影響
「極が1メートル動いたからといって、急に氷河期が来るわけではない」と研究者は語る。極移動そのものが、私たちの生活に直接的な影響を及ぼす心配はなさそうだ。しかし、この研究が浮き彫りにしたもう一つの事実は、決して見過ごせない。それは、ダムが世界の海水準に与える影響である。
ダムは本来なら海に流れ込むはずだった膨大な量の水を内陸にせき止めている。その総量は、なんとグランドキャニオンを2回も満たすほどだという。このせき止め効果によって、世界の海水準は実際に約23ミリメートル低下したと計算されている。
20世紀に世界の海水準は12〜17cm上昇したが、その上昇分のおよそ4分の1に相当する水が、実はダムによって陸上に留め置かれているのだ。これは、今後の海水準上昇を予測する上で、ダムの存在を無視できないことを意味している。気候変動を考えるとき、私たちはダムという人間活動の巨大な足跡も計算に入れなければならないのかもしれない。
参考:Live Science、ほか
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