光と影—明晰夢がもたらすリスクとは

 しかし、レイン博士は明晰夢の多用には懐疑的な側面も示す。もし、これほど便利な能力が生存に不可欠なら、人類を含む多くの種で、もっと一般的に進化していたはずだ、と彼は指摘する。明晰夢を頻繁に見ることは、本来、脳を休ませるべき睡眠の質を、かえって低下させてしまう可能性があるのだ。

 この未知の意識状態がもたらす真の価値とリスクについて、我々はまだ十分に理解していない。

 とはいえ、夢が持つ計り知れないポテンシャルは、多くの研究者が認めるところだ。レイン博士自身も、大学時代、試験前に勉強した内容をベッドで思い返し、眠りにつくことで、朝にはその知識が完全に定着していたという経験を語る。「そのおかげで、成績はオールAだったよ」と。

 我々の頭の中に眠る、もう一つの世界。それは、人生を豊かにする訓練場か、それとも安眠を妨げる危険な遊び場か。明晰夢という脳が生み出す最後のフロンティアをめぐる探求は、まだ始まったばかりだ。

参考:Popular Mechanics、ほか

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