メタンは大気中で化学反応によって自然に分解されるので、100年も経つとかなり減少する。このため「20年GWP(=82.5)」と「100年GWP(=28)」では値が3倍も異なる。

またコーネル大学はメタンが多く漏洩するとしていて、電中研の20倍もの値になっている。このため、コーネル大学の計算ではLC-CO2のうち38%をメタンが占めているが、電中研ではこれは遥かに小さい。

それから、コーネル大学は燃料の発熱量(メガジュール)あがりのCO2を比較しているのに対して、電中研は発電量(kWh)あたりのCO2を比較している。発電効率はLNG火力の方が石炭火力よりかなり高いが、コーネル大学はこれを反映できていない。

ということで、コーネル大学の結果に対して、メタンを「100年GWP」で評価して、電中研の用いている火力発電技術を想定すれば、やはりLNGの方が石炭よりも低排出になりそうだ。

これもチャッピーに計算させたら、その通りであった(図3)。

図3 コーネル大学の結果に対してメタンを「100年GWP」で評価して、電中研の用いている火力発電技術を想定した場合

チャッピー曰く:

つまり、時間軸(GWP100)と発電効率の差し替えだけで、コーネル大学ハワースの「LNGは石炭より悪い」という結論は、日本の電中研前提では「まだ悪くない、むしろ有利」に変わります。 ただし依然としてハワースの高いメタン漏洩率を引き継いでおり、漏洩削減が進めばさらに差が開く可能性があります。

参考:電中研オリジナル値

LNG GTCC(1 500 °C) 430 g CO₂/kWh 石炭USC(600 °C)   881 g CO₂/kWh ハワース→調整後(699 g/kWh)は依然 約1.6倍高い ため、メタン対策・輸送距離・データ年次差が大きいことが分かります。

ごもっとも。

チャッピーはウソや間違いがまだよくあるのだけど、私が見た限り、今回はほとんど間違えていないようだ(もし、間違いあったら教えてください)。