池田太監督 写真:Getty Images

 池田太監督が率いるタイ女子代表が、7月5日に行われたAFC女子アジアカップ予選グループBの最終節でインド女子代表に1-2で敗れた。この結果、タイは同組2位となり3勝1敗で予選敗退が決定した。タイの予選敗退は史上初で、結果が残せない日本人指揮官への風当たりが強くなっている。

 最新のFIFAランキングでは、タイが46位に対しインドは70位と格下。グループBはタイがホスト国を務めており、過去に1度も負けたことがないインド相手とあって、この日も勝利が確実視されていた。

 衝撃の敗戦後、タイサッカー協会(FAT)のヌアンパン・ラムサム会長(通称マダム・パン)はファンに謝罪し「私にとってタイサッカー界での最初の仕事は、タイ女子代表チームスタッフでした。長年、タイ女子サッカーを愛してきた者として、今夜のタイ代表のパフォーマンスには失望を禁じ得ません。この敗北について、協会、代表スタッフ、選手一同は言い訳することはできません」とコメントした。

 元なでしこジャパン監督の池田氏は、FIFA女子ワールドカップ2023でチームをベスト8に導き、アンダー世代の日本女子代表でも、AFC U-19女子選手権2017で優勝、FIFA U-20女子ワールドカップ2018で優勝という輝かしい実績を誇っている。

 2025年1月には鳴り物入りでタイ女子代表監督に就任。若手主体で臨んだ今回の予選では、東ティモール(4-0)、イラク(7-0)、モンゴル(11-0)に3連勝で良いスタートを切ったが、最終節でインドに足元をすくわれた。予選敗退により、タイはアジアカップ本大会の出場権を逃すとともに、FIFA女子ワールドカップ2027の出場権を争うチャンスも失ったことになる。

 タイと日本はサッカーの人材交流が非常に盛んで、タイ代表チームでは現在、男子を石井正忠監督が、女子を池田監督が指揮している。過去には、西野朗氏が男子チームを率いていた時代もあった。しかし、いずれも期待されたような成績を残すことはできていない。直近では、U-23代表の西ヶ谷隆之監督が解任されたばかり。日本人指揮官たちが、タイサッカー界の信頼に応えることができていない現状を、歯がゆい思いで見ている関係者も多いことだろう。