水深4900mのタイムカプセル。今も続く問い
事故から半世紀以上が経過した今も、スカイホークとB43核爆弾は、水深4900メートルの海底で横たわっている。その回収は現代の技術をもってしても事実上不可能だ。
米国政府は「環境への影響はほぼない」とし、核爆発の危険性も低いと説明している。しかし、それは本当だろうか。深海の巨大な水圧に耐えかね、いつか放射性物質が漏れ出す危険性はないのか。そもそも、失われた核爆弾は本当に1発だけだったのか。ロスアラモス国立研究所の資料には、2発だった可能性を示唆する記述も残されており、謎は完全に解明されたわけではない。
沖縄近海の底に眠る核爆弾は、冷戦という時代が生み出した「負の遺産」であり、私たちに核兵器管理の恐ろしさと難しさを突きつける、静かなる警告の象徴だ。私たちは、この海底のタイムカプセルが語りかける重い問いから目をそらしてはならないのかもしれない。
参考:1965 Philippine Sea A-4 incident、沖縄近海A-4水没事故、H-Bomb Lost at Sea in ’65 Off Okinawa, U.S. Admits、ほか
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