処置時間は約1時間で、チタン製のクラウンを丁寧に犬歯に装着していきました。
しかし相手は360キロの野生動物。
鎮静処置が効いているとはいえ、手術室には万が一に備えて銃を携えた武装対応チームの職員が待機していました。
もしツンドラが目覚めれば、命に関わる事態に発展する可能性もあったのです。
幸いにも手術は無事に完了し、ツンドラは再び元気に過ごせるようになりました。
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銀色のクラウンは彼の犬歯を保護し、細菌感染やさらなる損傷を防ぎます。
「彼の笑顔には、今やキラリと輝く光があるんです」と、動物園の広報担当は語っています。
なお、この前例のない処置について、医師チームは2025年中に獣医歯科学の専門誌『Journal of Veterinary Dentistry』に論文を発表する予定です。
一見、ユーモラスに思える「クマの銀歯」ですが、その背後には動物福祉と獣医療の進化があります。
大型哺乳類の歯の健康は、その生活の質に直結する重大な問題です。
とくにクマのように肉や硬いものを噛む動物にとって、犬歯の損傷は死活問題にもなりかねません。
今回の手術は、動物医療がどこまで進歩し、どこまで寄り添えるのかを示す象徴的な一例といえるでしょう。
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参考文献
Bear’s new metal tooth is world’s biggest-ever crown
https://www.livescience.com/animals/bears/bears-new-titanium-tooth-is-worlds-biggest-ever-crown