真相は“奇跡的な錯覚”?たった5人だけが見た光景の謎

 そこで登場したのが、現在最も有力とされる第二の仮説だ。それは、修道士たちが見たのは月の爆発ではなく、「月の手前を、地球に向かって一直線に飛んでくる火球(非常に明るい流星)」だった、というものだ。

 彼らがいた場所、彼らが見ていた角度。そのすべてが完璧に重なった時、地球の大気圏に突入して燃え上がる流星が、あたかも月の表面で爆発が起きたかのように見えたのではないか。まさに天文学的な確率で起きた「奇跡的な錯覚」だ。

 この説であれば、なぜ目撃者がカンタベリーの5人だけだったのか、という最大の謎も説明がつく。他の場所から見ていた人々にとっては、それは単なる明るい流れ星にしか見えなかっただろう。

 カンタベリーの修道士たちは、まさに「適切な時に、適切な場所で」空を見上げていたのだ。彼らが目撃し、生涯忘れられないと記録に残した壮絶な光景。その正体は、壮大な宇宙が仕掛けた、ほんの束の間の幻だったのかもしれない。

参考:The Ancient Code、ほか

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