運転免許を取得したばかりのドライバーにとって、周囲に「自分は初心者です」と知らせるための「初心者マーク」は、おなじみの存在でしょう。多くの自動車教習所で卒業時に配られるこのマーク、実はただ貼ればいいというものではありません。
初心者マークには明確なルールがあり、これに違反すると罰則の対象となる可能性があるのです。
今回は、意外と知られていない初心者マークの正しいルールと、周囲のドライバーが心得ておくべきマナーについて詳しく解説します。
初心者マークの正式名称と表示義務

私たちが普段「初心者マーク」と呼んでいるものは、正式には「初心運転者標識」と言います。
運転免許を取得して間もないドライバーにとって、この初心者マークの装着は、道路交通法第71条の5で定められた義務です。具体的には、車体の前面と後面の両方に、地上0.4m以上1.2m以下の見やすい位置に明確に表示しなければなりません。
もし、免許取得から1年以内の運転初心者がこのマークを貼らずに公道を走行した場合、表示義務違反となり、反則金4,000円、減点1点が科せられます。初心者マークを貼る期間は、原則として免許取得から1年間とされています。
周囲のドライバーも注意!初心者マーク車両への配慮義務
初心者マークは、運転初心者本人への義務だけでなく、周囲を走行するドライバーに対しても重要なメッセージを発しています。道路交通法では、初心運転者標識を表示した車両に対し、無理な割り込みや追い越し、その他走行を妨げるような行為を禁じています。
これらの違反行為を行った場合、周囲のドライバーには以下の反則金と違反点数が科せられます。
大型車・中型車:反則金 7,000円、違反点数 1点
普通車・二輪車:反則金 6,000円、違反点数 1点
小型特殊:反則金 5,000円、違反点数 1点
このことからも、初心者マークがいかに交通安全において重要な役割を担っているかがわかるでしょう。
目次
免許取得から1年以上経過しても貼っていい?意外な運用ルール
免許取得から1年以上経過しても貼っていい?意外な運用ルール

「初心者マークは免許取得から1年間貼るもの」という認識が一般的ですが、実は1年が経過すれば必ずしも外さなければならないわけではありません。
免許取得後1年が経過した場合、初心者マークを外しても法的な問題はありません。しかし、運転にまだ自信がないと感じる場合は、自分の判断で1年を超えても貼り続けることが可能です。
ただし、注意すべき点があります。義務期間である1年を超えて初心者マークを貼り続けている場合、万が一他の車が割り込みや追い越しをしてきても、相手に対する罰則は適用されません。法的に保護されるのは、あくまで免許取得から1年間の義務期間中のみとなるためです。
とはいえ、数年の運転歴があるドライバーが初心者マークをつけ続ける行為は、「初心者の保護」という本来の目的から逸脱し、他のドライバーに誤解を与える可能性も考えられます。そのため、義務期間が終了したタイミングで外すことが望ましいとされています。
初心者マークが事故を防ぐ!正しい掲示が交通秩序を保つ

初心者マークを貼らない理由として、「カッコ悪い」「初心者と思われるのが嫌だ」「車が綺麗に見えない」といった声を聞くことがあります。しかし、初心者であることを周囲に知らせていないことが、かえって事故の原因となりうるケースも存在します。
例えば、ある自動車整備工場に入庫した事故車のドライバーからは、次のような話が聞かれました。 「法定速度より低速で走る車を追い越そうとしたら、突然車線変更をしてきた。後で聞いたら初心者だったらしいが、初心者マークがついていなかったので、まさか初心者だとは思わずに追い越しても大丈夫だと判断してしまった。」
このような事例からもわかるように、初心者マークを正しく表示しないことが、互いの認識のズレを生み、予期せぬトラブルや事故につながる可能性があるのです。
初心者マーク以外にも、高齢ドライバーであることを示す「高齢運転者標識(もみじマーク)」や、聴覚障がい者であることを示す「聴覚障害者標識」などがあります。これらのマークは、表示しているドライバーが特別な配慮を必要とすること、あるいは周囲のドライバーに配慮を促すためのものです。
それぞれのマークを正しく表示し、そして周囲のドライバーがその意味を正しく読み取ることは、お互いの安全を守り、円滑な交通秩序を維持するために不可欠です。
安全な道路環境は、ドライバー一人ひとりの意識と配慮によって築かれます。初心者マークの正しい理解と実践が、交通事故を未然に防ぎ、誰もが安心して運転できる社会へと繋がっていくでしょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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