モータースポーツの歴史に新たな1ページが刻まれた。AIが運転するレースカーが、人間のトップドライバーが持つサーキットのラップレコードを1秒も上回るタイムを叩き出したのだ。しかも、開発チームによれば、そのポテンシャルはまだまだ底知れないという。

モーターの聖地で打ち立てられた金字塔

 この歴史的な記録が生まれたのは、イタリアのモデナ・サーキット。フェラーリやランボルギーニといった世界に名だたるスーパーカーブランドが集まる、まさに「モーターバレー」の心臓部だ。ここで、自動運転技術を競う大学対抗の国際レース「インディ・オートノマス・チャレンジ(IAC)」の一環として、タイムアタックが行われた。

 挑戦したのは、イタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学の学生と研究者たちで構成されるチーム「ユニモア・レーシング」が開発したAIソフトウェア。彼らが操るレースカー「IAC AV-24」は、サーキットをわずか58.3秒で周回。これは、2022年に人間のプロドライバーがランボルギーニ・ウラカンSTOで記録した59.3秒という従来の記録を、1秒も短縮する快挙だった。

【衝撃】AIが人類に圧勝。自動運転レースカーが世界ラップレコードを粉砕の画像2
(画像=画像は「YouTube」より)

若き頭脳が開発、「まだ本気じゃない」AIの底力

 驚くべきは、この記録がまだAIの限界ではないという点だ。ユニモア・レーシングの共同リーダー、アユーブ・ラジ氏は「新しいタイヤに履き替えるだけで、あと2秒はタイムを縮められたはずだ」と自信をのぞかせる。さらに、専用の空力パーツを装着すれば、さらなる高速化も可能だと語る。時間切れで挑戦は終わったが、AIドライバーにはまだ余力が残されていたようだ。

 このAIは多くの分野で既に人間を凌駕しているが、複雑な状況判断と精密な操作が求められるレースの世界では、まだ人間の優位性が信じられてきた。チームを率いるマルコ・ベルトーニャ教授は、「今回の記録は、AIがレースの分野でも人間を超える可能性を示した大きな一歩だ」とその意義を語る。

【衝撃】AIが人類に圧勝。自動運転レースカーが世界ラップレコードを粉砕の画像3
(画像=画像は「YouTube」より)