責任ある開発を目指して。対話と共に進む挑戦

 これほどの懸念がありながら、なぜウェルカム・トラストは資金提供を決断したのか。責任者のトム・コリンズ博士は「何もしないことのリスクを自問した」と明かす。

「この技術は、いつか誰かによって開発されるでしょう。ならば、今、私たちが可能な限り責任ある形で進め、倫理的な問題に正面から向き合うべきだと考えたのです」

 その言葉通り、プロジェクトは科学的な開発と並行して、社会科学者チームが専門家や一般市民の意見を広く集め、対話を進めていくという。

 人類は自らの手で生命の根幹を操作する、神にも等しい力を手に入れようとしている。この力がもたらすのは、輝かしい未来か、それとも取り返しのつかない悲劇か。私たちは今、その重大な岐路に立たされているのかもしれない。

参考:BBCThe Independent、ほか

文=深森慎太郎

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