研究は2009年から2024年にかけて行われ、対象者はすべて結腸がんの手術と化学療法を終えた成人。
彼らを無作為に2グループに分け、1つは構造化された運動プログラムを3年間実施、もう1つは健康に関する資料を提供するのみという設計でした。
運動グループは、専門家の指導のもとで週に2時間半(例えば30分のセッションを5回)追加での運動を行いました。
患者の好みに合わせた中等度の有酸素運動(速歩、自転車、水泳など)が設定され、定期的なカウンセリングも受けました。
運動の内容は無理のないペースで徐々に強度を上げていく形になっており、実生活に取り入れやすいプログラムが組まれています。
では、大腸がん治療後の運動にはどれほどの効果があったのでしょうか。
がん治療後の運動は再発リスクを28%、死亡率リスクを28%低下させる

この研究の最も重要な成果は、「運動が大腸がんの再発リスクと死亡リスクを確実に下げる」という事実です。
無病生存期間が5年だった人の割合は、運動グループでは80.3%だったのに対し、健康教育グループでは73.9%でした。
この差は一見小さく見えるかもしれませんが、統計的には有意で、再発や死亡のリスクを28%相対的に削減したことになります。
さらに、8年間の全生存率においても、運動グループは90.3%、健康教育グループは83.2%でした。
これは運動によって死亡リスクが相対的に37%低下することを示します。
この結果を受け、研究チームは次なる段階として「運動をがん治療の一部として正式に組み込む」方針を提案しています。
研究チームは次のように述べています。
「運動はもはやQOL向上のための道具ではない。
全ての患者が利用できる大腸がんの治療である」
大腸がん治療の未来に、患者自身の“足”で切り拓ける選択肢が加わったのです。
人生の再スタートを切る全てのがんサバイバーにとって、この発見は大きな希望となることでしょう。