人の手を介さず高頻度な検査が実現

 従来の鉄道車両メンテナンスの方法とは、どのような点が異なるのか。

「主に『データによる検査置き換え』を指しますが、車両に搭載されているモニタ状態監視システムを使用して得られる車両の様々なデータを活用し、クラウド上に構築した『状態判定システム』というアプリで車両の機能を自動判定することで、検査を置き換えることができます。これにより、これまで90日以内に1回行っていた検査を、毎日検査することができ、人の手を介さず高頻度な検査が実現できます」(JR西日本)

 同社がモニタリング保全を導入するに至った背景・理由は何か。

「『データによる検査置き換え』『車両不具合の予兆把握』『故障発生時の即時対応』を実現することにより、これまで以上に高頻度かつ高品質な車両メンテナンスを実施し、鉄道の安全性・生産性を向上していくためです」

 モニタリング保全の導入により、どのような効果が生じているのか。

「これまで90日以内に1回行っていた検査を、毎日検査することができ、人の手を介さず高頻度な検査が実現することで鉄道車両の品質が向上すると共に、一部の検査において、人の手を介さなくなることで検査における安全性の向上、生産性の向上も期待できます」

 最後に、モニタリング保全の今後のさらなる改善・アップデートなどの計画について聞いた。

「『データによる検査置き換え』が可能な車両数は、現時点で約300両です。弊社が所有する在来線の約1割にあたります。今後も対象車両を拡大し、2027年度末までに在来線の約6割を予定しています」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)