海外の空港に降り立つと、自国とまったく違う匂いに驚かされます。
日本だと、よく「醤油の匂いがする」と言われますが、国や文化によって人が好む匂いは違うのでしょうか?
スウェーデン・カロリンスカ研究所(Karolinska Institute)を中心とする国際研究グループは2022年に、世界の異なる文化・民族間で「匂いの好み」がどう変わるかを調査。
その結果、文化の違いに関係なく、人類には共通して好む匂い(また苦手とする匂い)が存在すると判明したのです。
研究の詳細は2022年4月4日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。
目次
- 人類が好む匂いベスト3が判明!ワーストも
- 匂いの好みには「進化的な理由」がある?
人類が好む匂いベスト3が判明!ワーストも
この研究では、先住の狩猟採集民から伝統的な農耕民族、現代の都市生活者まで、10の異なる文化集団を対象に、10タイプの異なる香りを嗅いでもらいました。
チームは、タイ、メキシコ、エクアドル、アメリカなどに直接出向き、砂漠、熱帯雨林、高地気候、沿岸地域、都市部といったあらゆる環境に住む人々からデータを収集。
調査には、タイ・マレー半島に住むセマク・ベリ(Semaq Beri)族の狩猟採集民、エクアドルのチャチ(Chachi)族の自給園芸・農耕民、ニューヨークの都市生活者など、合計280名以上が参加しています。
参加者には、ランダムに並べられた10本のペン型の匂い装置を提示し、それぞれの匂いを嗅いで、最も心地よいものから、最も不快なものまでランク付けしてもらいました。

その結果、個人間に好みの差はあったものの、文化間では好みの匂いに強い一致が見られたのです。
最も心地よいとされた匂い第1位は「バニリン(バニラエッセンスの主成分)」で、第2位が「酪酸エチル(桃などフルーツ系の香り)」、第3位が「リナロール(花の香り)」でした。