各子どもについて、親のどちらと似ているのかを評価しました。

比較には、「親子の類似度」と「他人同士の平均類似度」を計算し、相関係数の差を検定することで、「親子は似ている」と判断する厳密な手法が採られました。
子供の「脳のかたち」は父親と母親にそれぞれ似ている部分があった
脳の構造的特徴は一様ではなく、皮質厚・表面積・脳回指数などそれぞれ異なる発達パターンを持ちます。
そして分析の結果、子どもの脳には明確に「父親にのみ似る領域」「母親にのみ似る領域」「両親に似る領域」「どちらにも似ない領域」が存在することが確認されました。

さらに、これらのパターンが子どもの性別によって異なるという点も明らかになりました。
つまり、親子の脳の類似性は「父と息子」「母と娘」など、親子の性別の組み合わせによっても異なると言えます。
これらは脳の各領域が異なる遺伝的・環境的影響を受けて成長することを示唆しています。
また、「どちらにも似ない領域」の存在は、学校や友人関係など家庭外の環境が脳の発達に与える影響を示している可能性もあります。
こうした発見は、親子間でうつ病などのメンタルヘルスの問題がどのように伝わるかを探る手がかりにもなるかもしれません。

それで今後は、「なぜ親子で脳が似るのか」「なぜ性別によって似方が異なるのか」「脳が似ていることと世代間伝達はどう関係するか」といった問いに対するさらなる研究が進められる予定です。
本研究をリードした松平氏は次のように述べています。
「本研究の発展は、親子間の精神的な不調の連鎖を断ち切るための、新たな治療方法の開発に繋がる可能性があります。