横浜F・マリノス サポーター 写真:Getty Images

 J1の横浜F・マリノスが崩壊の危機に直面しているのかもしれない。6月25日に日産スタジアムで行われたリーグ戦でFC東京に0-3で敗れ、3連敗。今2025シーズン2度目の監督交代を経て臨んだ大島秀夫監督新体制の初陣だったが、内容・結果ともに厳しい現実を突きつけられた。

 横浜FMが長年掲げてきた“アタッキングフットボール”は今や空回りしている。かつてFWマルコス・ジュニオール(サンフレッチェ広島)やFW前田大然(セルティック)、MF水沼宏太(ニューカッスル・ユナイテッド・ジェッツ)らの個性を最大限に引き出し、ゲームを制圧してきた戦術は、指揮官と選手のシナジーによって成立していた。しかし現在の横浜FMには、そのオーガナイズ能力が決定的に欠けている。

 実際、今の横浜FMにはかつてのような明確なハイプレスも、ハイラインを保つ統一感もない。前線はプレスの意識すら感じさせず、中盤は空洞化。ボール奪取の位置は低く、自陣に押し込まれた状態からのビルドアップが繰り返される。かつては高い位置でボール回収して攻撃へつなげていた守備意識も消え、攻守の連動が破綻していると言っても差し支えないだろう。

 ネット上でサポーターからは「アタッキングフットボールをして負けて降格するより、堅守速攻でも残留を選ぶべき」との声も上がっている。アタッキングフットボールに固執したままでは、今の順位から這い上がるのは困難という現実が突きつけられているのだ。

 そもそも“アタッキングフットボール”は、勝利という目的を果たすための手段であるべきだった。だが今のチームは、攻めることが目的になってしまい、“どうすれば勝てるか”という視点が弱くなっているように感じられる。

 横浜FMが再び輝きを取り戻すには、現実的かつ効果的な勝ち方を模索し、今こそ、クラブの“スタイル”を再定義するタイミングなのかもしれない。