呪いから希望へ。自然界が秘める無限の可能性

 もちろん、この「アスペリギマイシン」が実際の薬として世に出るまでには、動物実験や臨床試験といった長く険しい道のりが待っている。

 しかし、今回の発見は私たちに二つの重要なことを教えてくれる。一つは、何十億年という進化の歴史が生み出した自然界の創造性は、人間の想像をはるかに超えているということ。そしてもう一つは、「呪い」や「悪」と恐れられていたものが、視点を変えれば、未来を照らす「希望」になりうるということだ。

 古代の墓に眠っていたファラオの呪いが、現代の医療に革命をもたらすかもしれない。自然界という名の巨大な薬局には、まだ私たちの知らない秘密が、無数に隠されているに違いない。

参考:IFLScience、ほか

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