「スマホの通知音が鳴っても、気を取られることなくタスクを続けられる人」
「周囲がザワザワ騒がしくても、集中力を切らさずに作業ができる人」
そんな人たちの脳内では、ある脳波のリズムが高いレベルで同調していたことが、独ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ校(JGU)の最新研究で明らかになりました。
この脳波のリズム同調を持っていた人は、認知機能テストでも高い集中力を発揮し、好成績を収めていたのです。
果たして、その脳波とは?
研究の詳細は2025年の学術誌『Journal of Experimental Psychology: General』に掲載されています。
目次
- 脳内で鳴る「シータ波」のリズムとは?
- 賢い人ほど「シータ波の同調」が起きていた
脳内で鳴る「シータ波」のリズムとは?

私たちの脳は、静かに見えても常に電気信号が飛び交っています。
そしてその信号は、特定のリズムで「脳波」として現れます。
今回注目されたのは、その中でも特にゆっくりとした4〜8ヘルツの「シータ波」と呼ばれる脳波です。
シータ波は、集中力を要するタスクや、思考の切り替えが求められる場面で強く現れることが知られています。
とくに脳の前頭中央部での活動は、「認知制御」と深く結びついており、注意の集中、柔軟な思考、そして意思決定の実行に関わる重要な役割を担っています。
研究チームが注目したのは、このシータ波が脳の複数の領域で“同調”して動く現象、すなわち「シータ波結合(theta connectivity)」です。
これは例えるなら、指揮者のもとで管弦楽団が完璧に調和して演奏するようなもので、脳の各部位が協調して働く状態といえるでしょう。
この協調が取れていればいるほど、より複雑で難しい課題にもスムーズに取り組めると考えられます。