灼熱の路上に取り残される人々
しかし、誰もが涼しい屋内で過ごせるわけではない。クウェートの人口の約7割を占めるのは、アラブ諸国や南・東南アジアから来た移民労働者たちだ。彼らの多くは建設業や家事サービスに従事し、灼熱の路上や公共バスでの移動を余儀なくされている。
2023年のある研究によると、気候変動による熱関連の死亡リスクは、今世紀末までにクウェート国民全体で最大11.7%増加するのに対し、非クウェート国民(主に移民労働者)では最大15%も増加する可能性があるという。猛暑の影響は社会的に弱い立場にある人々により深刻な形で襲いかかっているのだ。
問われる国の姿勢と未来への警告
皮肉なことに、クウェートは世界でも有数の二酸化炭素排出国であり、その量はバーレーンとカタールに次いで多い。近隣諸国が大幅な排出削減目標を掲げる中、クウェートがCOP26で発表した目標は、2035年までにわずか7.4%削減するという微々たるものだ。
さらに政府は、冷房需要の増加により、2030年までにエネルギー需要が現在の3倍になると予測している。政府が電気代の大部分を補助しているため、国民に節電へのインセンティブが働きにくいという構造的な問題も、この状況に拍車をかけている。
環境専門家は、このままでは洪水、干ばつ、砂嵐の頻発、生態系の破壊など、地球温暖化がもたらすさらに深刻な事態に直面するだろうと警鐘を鳴らす。
魚が茹で上がり、鳥が空から落ちる街の現実は、地球全体の未来を映し出す、あまりにも厳しい鏡なのかもしれない。
参考:THE Mirror、ほか
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