会計ソフトの導入により得られる3つのメリット
導入企業の経理担当者が最初に実感するのは、「時間的な余裕」の創出です。これまで手作業に費やしていた時間を、より戦略的な業務に振り向けることで、経理部門の付加価値は大幅に向上します。
主なメリット
メリット | 詳細 |
---|---|
1. 工数削減 | 自動仕訳や試算表作成機能による月次・年次決算のスピード向上 深夜まで続いていた確認作業からの解放 戦略的業務への時間創出 |
2. コンプライアンスとガバナンス強化 | 内部統制機能の標準搭載による監査対応の円滑化 改正法令への自動アップデート 法改正対応漏れリスクの大幅軽減 |
3. インボイス制度・電子帳簿保存法への即応 | システム自動アップデートによる新制度・法改正への確実対応 突発的な税務調査への即時対応 必要帳簿・証憑の迅速提示 |
会計ソフトの選び方|失敗しない6つの確認ポイント
「導入したけれど、結局使いこなせない」というのはよくある話です。自社に適した会計ソフトを選定することは、導入効果を最大限に引き出す上で極めて重要です。
多種多様なシステムが存在する中で、どの製品が自社の課題解決に最適かを見極めるために、以下の6つのポイントを必ず確認しましょう。
1. 自社の取引量と必要な管理粒度
まず、自社の現状を正確に把握することがシステム選定の第一歩です。「思っていたより取引件数が多くて処理が追いつかない」といった事態を避けるため、現状の業務量や管理レベル、課題点を明らかにすることで、システムに求めるべき具体的な要件が見えてきます。
チェックポイント
- 月間・年間の仕訳件数や取引件数はどのくらいか。
- 管理したい部門数やプロジェクト数はいくつか。
- 部門別損益計算やプロジェクト別原価管理など、どこまでの詳細な管理会計が必要か。
2. 国内法 vs IFRS/多通貨の要否
企業の事業展開によっては、国内の法制度だけでなく、国際的な会計基準(IFRS)や多通貨への対応が求められます。海外展開を始めてからの対応では遅すぎるため、海外拠点や取引の有無、将来的な海外展開の可能性を考慮して判断しましょう。
チェックポイント
- 海外に拠点や子会社があるか、または将来的に計画しているか。
- 海外との取引(売上・仕入)があり、多通貨での記帳や為替換算が必要か。
- IFRS(国際財務報告基準)への対応は必須か。
3. かかるコスト
会計ソフトの費用体系は、提供形態(クラウド型・インストール型・オンプレミス型)によって大きく異なります。「初期費用は安かったのに、運用費用がかさんでしまった」という失敗を避けるため、初期費用だけでなく、月額利用料、ユーザー追加費用、オプション料金なども含めた総コスト(TCO)を比較検討することが重要です。
チェックポイント
- 初期費用、月額(年額)費用、追加ユーザー単価は予算内か。
- 導入後に発生しうる追加費用(機能拡張、サポートなど)は把握できているか。
- 提供形態の費用モデルと自社の予算計画・IT戦略は適合しているか。
4. 連携範囲(販売管理・給与・銀行API)
会計ソフトを既存のシステムと連携させることで、データ入力の手間を減らし、ミスを防止できます。自社で利用中のシステムとの連携可否や連携方法(APIかCSVか)、連携できるデータの範囲を確認することが肝心です。
チェックポイント
- 現在利用中の販売管理システムや給与計算ソフトと連携できるか。
- 銀行API連携による入出金明細の自動取得に対応しているか。
5. セキュリティ/内部統制(ISO・SOC2)
会計データは企業の機密情報であり、厳重なセキュリティ対策が必要です。特にクラウド型ソフトを選ぶ際は、提供事業者のセキュリティ体制や、内部統制を支援する機能の有無を確認しましょう。
チェックポイント
- データの暗号化、不正アクセス対策、バックアップ体制は万全か。
- ISO27001(ISMS)やSOC報告書などの第三者認証を取得しているか。
- 操作ログの記録やアクセス権限の管理機能は、自社の内部統制要件を満たしているか。
6. サポート体制と導入支援
導入時や運用中に問題が発生した場合、迅速かつ適切なサポートを受けられるかは重要な選定ポイントです。「困ったときに誰に相談すればいいかわからない」「電話がつながらない」という状況を避けるため、提供形態によって異なるサポート内容を確認し、自社に合った支援体制を選びましょう。
チェックポイント
- 電話、メール、チャットなどの問い合わせ手段や対応時間は十分か。
- 導入時の設定支援や操作トレーニングは提供されているか。
- 必要に応じて、専門的な知識を持つ導入パートナー(代理店やSIer)の支援を受けられるか。