日銀は17日、金融政策決定会合を開き、政策金利である短期金利の誘導目標を現行の「0.5%程度」で据え置いた。トランプ米政権の高関税政策の影響を慎重に見極めるべきだと判断した。会合では、昨年7月に策定した国債買い入れ減額計画の中間評価も実施。来年4月以降の1年間は減額幅を縮小することを決めた。

 具体的には、四半期ごとの減額幅を現行の4000億円から2000億円に変更。月間買い入れ額は2027年1~3月に月2兆1000億円程度(現在月4兆1000億円程度)となる。長期金利が今年5月に急上昇したことも踏まえ、減額ペースを緩めることで国債市場の安定に配慮した。田村直樹審議委員は減額幅縮小に反対票を投じた。

 植田和男総裁は17日午後に記者会見し、決定内容を説明する。 

 国債買い入れ減額は、大規模緩和からの金融正常化の一環。日銀は昨年7月、月5兆7000億円程度だった買い入れ額を四半期ごとに4000億円ずつ減らし、26年1~3月に月2兆9000億円程度とすることを決めた。

 今回の中間評価では、残りの期間も計画通り減額を進めることを確認。26年4月以降も1年間、ペースを緩めて減額を続ける。計画の柔軟性確保のため、26年6月の会合で再び中間評価を行う。金利急騰時には買い入れ増額などで機動的に対応する方針も改めて示した。

 会合の声明文では、基調的な物価上昇率について、27年度までの見通し期間後半に2%の物価上昇目標と「おおむね整合的な水準で推移する」と指摘した。一方、米関税政策を巡っては「不確実性は極めて高い」とし、経済・物価への影響を注視する姿勢を示した。

 日銀は5月1日の前回会合でまとめた景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で成長率と物価の見通しを下方修正。2%目標の実現時期を1年程度先延ばしした。

◇日銀決定会合のポイント  一、政策金利を0.5%程度に据え置き  一、国債買い入れ、来年4月以降は減額ペースを四半期2000億円に縮小  一、来年3月までの減額ペースは四半期4000億円を維持  一、27年1~3月期の国債買い入れ額は月2兆1000億円程度  一、来年6月に買い入れ減額計画の中間評価  一、物価、見通し期間後半には目標とおおむね整合的な水準で推移(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/06/17-13:25)