過去にも猫の気持ちを翻訳するスマホアプリが話題になったことがあります。

しかし過去の翻訳アプリは9~11程度の意図分類に限られ、約90%の精度しか出せなかったため、専門家から信頼性を疑問視されていました。

例えば「ごはんちょうだい」「怒ってる」など大まかなカテゴリに当てはめるだけで、専門家からは信頼性に疑問の声も上がっていたのです。

そこで今回アメリカの研究者は、より包括的で科学的に裏付けられた「猫語の辞書」を作り、それを使って猫の鳴き声を高度に分類・翻訳するAIの開発に挑みました。

Reznikov博士は以前から猫の発する音声を体系化する「FGC(FelineGlossaryClassification)」と呼ばれる分類法に取り組んでおり、今回はその最新版FGC2.3にもとづいて大規模なデータ収集とAIモデル訓練を行いました。

目標は40種類もの猫の声を識別できる汎用モデルを作り、人間向けにリアルタイム表示できる「猫語翻訳機」を実現することです。

猫語40単語をAIが同時通訳

猫語40単語をAIが同時通訳
猫語40単語をAIが同時通訳 / Credit:FGC2.3 Feline Vocalization Classification and Cat Translation Project

研究チームはまず、猫の鳴き声を5つの大分類(食事要求、日常生活、ケンカ/防衛、発情/交配、苦情/不調)に分け、それをさらに細かい場面ごとに40種類の「声種」に定義しました。

例えば「食事」グループには「空腹を訴えるニャー(f140A)」「カリカリを食べるときのカリカリ音(f150A)」「水を飲むときのペチャペチャ音(f180A)」などが含まれます。

日常生活のグループには「母猫が子猫を呼ぶゴロニャーン(f210F)」から「トイレの後に砂をかくシャッシャッという音(f275A)」までがあり、甘えるゴロゴロから構ってほしいときの呼びかけ音まで網羅されています。