【クアラルンプール時事】マレーシア・クアラルンプールの会議施設で16日、アジア地域のエネルギー供給や移行問題について話し合う国際エネルギーフォーラム「エナジーアジア」が開幕した。開幕式で基調演説を行ったアンワル首相は「地域が温室効果ガス(GHG)の排出量実質ゼロを達成しながら経済発展を目指すには、再生可能エネルギーだけでなくGHGの排出を抑制した石油、天然ガスを組み合わせる必要がある」と述べて、現実的な対応の重要性を指摘した。

 首相は「このようなバランスの取れた取り組みが、(地域の)生活水準引き上げに必要な低価格のエネルギー提供を実現する上で欠かせない」と強調。その上で、JX石油開発とENEOS、三菱商事などが国営石油会社ペトロナスと進めている二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)事業をモデルケースとして示した。

 エナジーアジアは、マレーシアの国営石油会社ペトロナスが主催。2023年に初めて開かれ、今年で2回目。

◇日本、アジア・ゼロエミッション共同体の紹介パビリオン出展

 開幕式に続いて行われたパネル討論会には、日本から経済産業省の木原晋一資源エネルギー政策統括調整官が参加。脱炭素に向けた東南アジア諸国との連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」について説明した。

 また木原氏はIHIとマレーシアの国営石油会社ペトロナスのクリーンエネルギー子会社ジェンタリが取り組んでいるグリーンアンモニアの専焼発電事業やCCSにも言及。日本・マレーシア間のエネ移行分野での協力の発展に期待を示した。

 日本は今回、AZECを紹介するパビリオンも出展。IHI、東芝、三菱重工業、UMWトヨタ・モーターのほか、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が参加し、水素やCCSなどに関するエネ移行技術を紹介した。(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/06/16-17:29)