友人のお姉様夫婦が結婚20周年ということで、東京にあるミシュラン3ツ星のフレンチレストランの予約を取りたいと私に相談がありました。以前、私がミシュラン3ツ星スタンプラリーをやったことがあり、そのブログ記事を覚えていて連絡をくれたようです。
予約を希望するお店のオーナーシェフとは以前メッセージのやりとりをしたことがありますが、それほど親しいわけではありません。ところが、ダメ元で夜に直接メッセージを送ってみると、なんとその日にすぐ返信がありました。
おそらくレストランの営業が終わってからメールをチェックし返信してくれたのだと思います。常連でもない私のような一元客に深夜に迅速に対応してくれることに驚きました。
このオーナーシェフは「商売人」というより「職人」という表現がふさわしい料理人です。
前回の訪問時には、深夜近くの帰り際に最後のお客さんが見えなくなるまで、お店の前にずっと直立不動の姿で見送りをしていたのを今でも覚えています。
お料理からゲストの接客まで、全てに1ミリの隙もない完璧さを追求する真摯な姿勢に感銘を受けました。
今回の私のメッセージへの対応も迅速かつ丁寧。どこかの人気店のオーナーシェフのように、上から目線で奢り高ぶるようなところはまったくありません。
顧客に感動を与えることを常に考え、ストイックに実践を続けられる。メッセージのやり取りをしていて、これこそが「一流」の証と思いました。
果たして自分は仕事でくたくたになって帰ってきて、その日の問い合わせに全て誠実に回答を送ることができているだろうか。
そう自問すると、自分自身がどうして「一流」になれないか、その理由がわかるような気がしました。それはどこかに「甘え」があってストイックな姿勢を貫徹できないからです。
「一流」が生まれるのは、「才能」からではなく、「才能と努力」の絶え間ない積み重ねからです。
そして、その努力を人前で見せないからこそ、多くの人に感動を与えることができるのです。ミシュラン3ツ星を18年連続で獲得しているのにはちゃんと理由があるのです。