医療や福祉の現場で「生産性」や「効率」という言葉を口にした瞬間、まるで冷たい合理主義者のように扱われ、強い反発を受ける。これは、政治の現場でも幾度となく目にしてきた光景です。

たしかに、医療は人の命と尊厳に関わる分野です。機械のように「ムダを省け」と言ってしまえば、反発が起こるのも当然かもしれません。

しかし現実は――私たちの医療制度は、既に限界を迎えつつあります。

非効率を放置し、モラルハザードを見過ごし、誰もが「必要な医療」だと信じてきた制度の中に、すでに綻びは走っています。

限られた財源と人材の中で、このまま現行の制度を維持しようとすれば、「本当に必要な人」に医療が届かなくなる未来が待っているのです。

だからこそ、いま私たちは勇気を持って前に進まなければなりません。

たとえば、OTC(市販薬)類似薬の保険適用除外。過剰な湿布処方など、不要不急の医療コストを抑えることが、未来の命を守る第一歩です。

その先には、窓口負担の見直し、終末期医療のあり方といった、さらに繊細で困難な改革が控えています。政治的リスクが高いことは承知しています。だからこそ、これまで多くの改革が“言葉狩り”によって潰されてきました。

でも、今回は違います。

私たちの目指すのは、冷たい制度削減ではありません。「持続可能な制度を、次の世代に引き継ぐ」ための、あたたかい合理性と責任ある選択です。

生産性を高める。効率化を図る。それは、人間らしさを奪うことではなく、限られた人材を社会全体で最適に配置し、一人でも多くの人に必要な医療と福祉を届けるための手段なのです。

そして、この改革は医療だけに留まりません。社会保険料という現役世代の重い負担を軽くし、経済成長を取り戻すための道でもあります。