セレウス菌の生み出した芽胞は熱に対して非常に強く、90℃で60分加熱しても死なないのです。
芽胞は30℃前後でもっとも活発化し、急激に増殖しながら食中毒の原因となる「セレウリド」という毒素を生産します。
つまり、調理後に放置されたチャーハンや焼きそばは、セレウリドが大量増加しやすい最適な温度環境になっているのです。
しかもセレウリドは通常の加熱では死なないので、「レンチンすれば大丈夫でしょ」が通用しません。
では、その事実を知らずに放置した料理をレンチンして食べると、どんな症状に見舞われるのでしょうか?
チャーハン症候群には2タイプある
セレウス菌の毒素によって生じる食中毒には、2つのタイプがあります。
1つは腹痛や水様性下痢を主とする「下痢型」で、もう1つは吐き気や嘔吐を主とする「嘔吐型」です。
それぞれの潜伏期間は、下痢型が6〜15時間で、嘔吐型は短く30分〜6時間(平均3時間)となっています。
セレウス菌の毒素による症状は、小さな子供や基礎疾患のある大人の場合は、病院で治療を受けなければならないほど悪化する場合もありますが、一般的には数日ほどで回復します。
そのため、たいていの人は自力治癒するため、病院で診察を受けないケースが多く、チャーハン症候群の正確な発生件数はよく分かっていません。
日本でもセレウス菌を原因とする食中毒の発生件数はそれほど多くなく、年々減少する傾向にあります。
厚生労働省の調べでは、年間で100〜400名ほどの患者数しか見られないとのこと。

しかし最初に話題に出たような死亡例は日本国内でも発生しており、平成20年に家庭内で起きたセレウス菌食中毒(原因食品は焼飯)で3名中1名が亡くなっています。
また季節としてはやはり気温の高い6月〜10月に多発しやすいようですが、冬場でも十分に起こり得るようです。