皆さんは普段、どのような手段で移動をしているでしょうか?
徒歩、自動車、バス、電車など、様々な移動手段がありますが、もし可能なら「自転車」を選択するといいかもしれません。
このほど、豪シドニー大学(University of Sydney)らの研究で、47万人以上を13年以上にわたって追跡。
その結果、自転車での移動を習慣にしている人は、他のどの移動手段よりも認知症になるリスクが最も低かったのです。
研究の詳細は2025年6月9日付で医学雑誌『JAMA Network Open』に掲載されています。
目次
- 自転車移動が脳を守る
- なぜ自転車が認知機能を保護できるのか?
自転車移動が脳を守る
認知症は今や、世界中の高齢者の健康を脅かす大きな課題です。
2019年時点で全世界に約5500万人いた患者は、2050年には1億3900万人に達すると予測されています。
しかも65歳未満で発症する「若年性認知症(YOD)」は、介護負担や死亡率が高く、家族にも社会にも大きなインパクトを与えます。
そんな中、予防策として注目されているのが「身体活動(Physical Activity)」です。
運動習慣が脳に良いということはよく知られていますが、「日常の移動手段」が脳の健康にどう影響するのかについては、これまであまり研究されてきませんでした。

今回の研究では、英国の大規模バイオバンクに登録された47万9723人のデータが使われました。
対象者は平均年齢56.5歳で、調査開始時には全員が認知症の兆候を持たず、歩行可能な状態にありました。
研究チームは、参加者に「過去4週間で最もよく使った移動手段(通勤を除く)」を尋ね、以下の4つのカテゴリに分類しました。
・非アクティブ:自家用車または公共交通機関
・徒歩
・混合ウォーキング:徒歩と他の移動手段の併用
・自転車・混合自転車:自転車単独または他の移動手段との併用