財政インフレはトルコやアルゼンチンなど途上国ではよく起こっているが、そういう国の政府は信用されていないので、4%で収めることはできない。他方、日本政府は過剰に信頼されているので、政治家によほどの胆力がないと4%のインフレは実現できない。

石破首相がおっかなびっくりでやっても何も起こらず、高市早苗氏や山本太郎氏が盲目的にやったら、インフレが暴走して止まらなくなるだろう。バーナンキも最後は「この提案は無理だと思うが、何もしないともっとひどいことになる」という捨てぜりふで終わっている。

玉木代表が首相になって本気で消費減税と社会保障改革を実現するつもりなら、4%のインフレ目標と日銀引き受けは可能なオプションである。彼の日銀が国債を永久国債で借り換えるという提案は実質的にバーナンキと同じだ。

もちろんこれは「日本政府は債務を履行しない」と受け取られるおそれのある危険な賭けであり、米国債の格付けが下げられた時期に実行すべきではない。

だが日本国債は過剰に信頼されているので、インフレが暴走するリスクは大きくない。老人票を恐れて与野党ともに年金削減に手をつけない中で、氷河期世代を救済する最後の手段として検討する価値はあるのではないか。