担保の価値が下がる。返済が迫られる。売却せざるを得ない。市場に売り物が溢れる。さらに価格が下がる──。

このスパイラルが、一夜にして「価値がふくらんでいた」資産を泡のように消し飛ばしたのです。

最終的に多くの企業が倒産し、個人は借金だけを背負い、国全体が長い不況へと落ち込んでいきました。これが、いわゆる日本の「バブル崩壊」の実像です。

目に見えた“お金”はあったのに、それが本当にあるのかどうか誰も確かめないまま、信用だけで回っていた世界。その信用が少しでも揺らげば、あっという間に崩れてしまうという現実を、私たちはこのときに思い知らされたのです。

これが、日本がその後「失われた10年(どころか20年、30年)」と呼ばれる長い停滞期に入っていく直接のきっかけとなりました。

さらに2000年前後には、今度はアメリカを中心にITバブル(dotcom bubbleが発生します。

インターネットという新技術の登場は、人々に巨大な夢を与えました。どんな小さなベンチャー企業でも「次のAmazonになるかもしれない」「Googleのように世界を変えるかもしれない」と思われ、利益も出していない企業の株価が何十倍、何百倍と膨れ上がっていったのです。

このときのバブルは、前例のないテクノロジーに対する過剰な期待、夢によって値段が決まっていたのです。

そして現実が追いつかないと分かった瞬間に、やはりその期待は崩れ去ります。2000年を境にNASDAQは暴落し、多くのIT企業が倒産、資金の流れは一気に冷え込みました。

こうしてバブルは形を変えて何度も繰り返されているのです。

投資家ってただの転売屋じゃないの? 本当の「投資」ってなんだろう?

ニュースで「株価が過去最高を更新」「投資で資産形成を」なんて言葉を聞いて、あなたも一度は投資に興味を持ったことがあるかもしれません。けれど、ふと立ち止まってこんな疑問がよぎったことはないでしょうか?