東京都葛飾区亀有駅のすぐそばにある「絵と言葉のライブラリー ミッカ」。大人だけでは入れず、本の貸出もしないという少し変わった図書館です。一般的な図書館にはない細やかな工夫や、イベント、展示など、親子で楽しめるポイントが盛りだくさん!子どもの知的好奇心を刺激するその魅力をたっぷり紹介します。
目次
「絵と言葉の本」だけの小さな図書館
テーマごとに並べられた本棚
大人も楽しいラインナップ
自由な姿勢で本が読めるリーディングスペース
定期的に開催!イベントや展示も楽しもう
シアタールームは子どもが泣き出しても大丈夫
アトリエスペースで、本に落書きしちゃおう!
授乳室やベビーカー置き場も完備
大人だけでは入れないので要注意
<案内してくれた人>
「絵と言葉の本」だけの小さな図書館
絵と言葉のライブラリー ミッカは、葛飾区亀有駅前にある「リリオ館」という商業施設の中にあります。リノベーションプロジェクトで2018年にオープンした、小さな図書館です。
中央にシアタースペースがあり、それを取り囲むように本棚やリーディングスペース、ギャラリー、アトリエスペースがあります。
山本:ミッカに置いてあるのは、絵本や漫画、図鑑、写真集など「絵と言葉の本」だけなんです。文章を読むのが苦手な子でも興味を持ってもらえたらと思っています。
一般の公共図書館と違い、館内で楽しむのがミッカのスタイル。本の貸出ができないかわりに、図書館の本によくつけられている透明なカバーはありません。本の装丁や質感をたっぷり楽しむことができます!
山本:特殊な製本技術を使っている本や、海外のZINE(個人製作の冊子)など、あまり見かけない個性的な本もたくさん置いています。
子どもたちが自発的に好奇心を持って選んでくるものはもちろん、保護者の皆さんも、つい手に取りたくなってしまうような本がたくさんあるんです。
テーマごとに並べられた本棚
本の並べ方も一般の図書館とは違い、よく使われる十進分類法(NDC)や、あいうえお順ではなく、独自のテーマごとにディスプレイされています。
こちらは「浮世へようこそ」というテーマで集められた棚。ちょんまげにまつわる絵本の隣には江戸の仕事図鑑、更に落語の漫画や江戸の食べ物の本も並んでいます。
テーマに関連した本を一か所に集めることで、手に取った隣の本にも興味をもってもらえるなど、未知の本との出会いが生まれているのだとか。
山本:この本棚は背表紙の色別に並べられています。棚の形は、ダルマ落としをモチーフにしたものなんですよ!
色別にわけていると、子どもが本を片付けるときにもいい目印になるのだそうです。
本棚の近くには子ども用の踏み台も置いてあるので、高いところの本でも大丈夫!それでも手の届かない高いところの本が読みたい場合は、スタッフさんに頼みましょう。
大人も楽しいラインナップ
子どもたちの定番『かいけつゾロリ』シリーズは、ミッカでももちろん大人気!葛飾にある図書館、ということもあって『こち亀』シリーズもずらりと並んでいます。
山本:漫画は「最新のもの」というよりは、たくさんの人に愛されてきた作品を中心に置いています。お父さんお母さん世代が読んでいたような作品も、実はたくさんありますよ。ちょっと刺激的な作品もあえて置いていて、変に隠すというよりはフラットに、手に取れるようにしています。
子どもが絵本を読んでいる間に、気になっていた名作漫画を読むのも楽しそう。夢中になりすぎないよう要注意ですね!
自由な姿勢で本が読めるリーディングスペース
リーディングスペースには、丸い雲のような形のソファがあります。大きな窓から入る光は心地よく、赤ちゃんから大人まで、自由な姿勢でリラックスしながら本を読めます。
一般的な公共施設のソファには汚れ防止の観点でビニール素材が多く使われていますが、ミッカは肌触りの良いファブリックを採用。撥水性が高く、もしも汚れてしまったときは、サッと拭けば元どおりです!
リーディングスペース奥の小上がりには、屋根裏部屋のような小さな空間が。壁に囲まれているため情報が遮断され、照明も少し暗いのでかなり落ち着きます。ここでじっくり本を読むのも良さそうです。
定期的に開催!イベントや展示も楽しもう
本だけでなく、イベントや遊び心あふれる楽しい展示も楽しめるのがミッカの大きな特徴。
取材に行ったときは、秋ということで、頭上にサンマのオブジェが展示されていました。商業施設の中にあって館内に季節感を取り入れるのが難しいため、季節ごとに飾り付けを変えているのだそう。「これはサンマっていう、秋の魚なんだよ」「じゃあ図鑑で調べてみよう」といった、会話や学びのきっかけにも繋がる、新しい発見の場になっています。
絵本作家さんによる出版記念にちなんだワークショップや、玩具メーカー、大学などと連携した展示も。静かにしないといけないというイメージがある図書館ですが、イベントのときはみんな大盛り上がりです。
シアタールームは子どもが泣き出しても大丈夫
山本:ミッカの中央にあるのはシアタールームです。赤いカーテンを締め切ると、グッと世界に引き込まれますよ。60名ほどが入れる観客席は、階段上のクッションファーになっていて、座って観ても、寝っ転がっても大丈夫です!
お笑い芸人のバッドボーイズ・大溝清人さんが、宇宙人に扮して読み聞かせをしてくれるという「キヨトのぷぷぷ」は人気プログラム!芸人さんが朗読すれば、どんな本も楽しくなりそうですね。
ほかにも落語や音楽、ダンス、映画、人形劇など、さまざまなプログラムが定期的に開かれています。近い距離で一体感をもって楽しめる空間。おもしろいプロの大人たちとふれあうことで人生の選択肢も広がるかもしれません。
山本:もしも途中で子どもが泣いてしまっても、シアター後ろと、両サイドに出入口があるので、サッと外に出てあやすことができます。
みんな子ども連れなので、子どもが泣いたり騒いだりしてもお互いさま。育児中の親同士、共に戦う仲間として話が弾むことも。子ども連れにはありがたい雰囲気です。
イベントがないときにはカーテンを開けて開放しているので、この中で寝っ転がって本を読むのもOK!金色の天井を見上げれば、ゴージャスな気分になれるかも。
各イベントは、事前予約が必要なものもあります。詳しくはミッカの公式サイトを確認してください。
アトリエスペースで、本に落書きしちゃおう!
お絵かきや、工作などができるアトリエスペースを案内してくれたのは、絵の上手な広報の菊地さん。
スラスラと、ミッカのキャラクターを描いてくれました!
菊地:子どもたちにリクエストされて、お絵かきしていることも多いんです。
菊地:これはアトリエスペースに置いてある、絵や文字をかき込んでもいい本です。ある子が描いた絵に、別の子が絵を描きたして漫画にしています。本の中で会話しているところがとっても面白いですよね!
本の中で化学変化が起きているみたいでワクワクします。
続いて見せてくれたのは、デザイナーさんや建築家の人が仕事で使う見本帳やサンプル素材。大人でも普段はなかなか手に取って見られない貴重なものです。
菊地:子どもの頃からいろんな素材を触ったり、いろんな色や質感があることを知ると、視野が広くなると思います。本と一緒に本棚に置いてあるので、気軽に手に取ってみてください!
授乳室やベビーカー置き場も完備
ミッカには授乳室があるので、赤ちゃん連れでも安心。スタッフさんに声をかけると使える個室には、水道とL字のソファーがあって、ゆったりとした気持ちで授乳やおむつ交換ができます。
ベビーカー置き場もありますよ。
トイレの扉には、世界中のピクトグラムが!見慣れているものから、見たことのないもの、ミッカのキャラクターが隠れているものまで、いろいろです。
赤一色だけでなく、ピンクやオレンジ、紫色などカラフルにしたのは、心の性別でトイレを選んでもらいたいから。訪れる誰もが心地よく使えるよう、細かな配慮がなされています。
絵本を読んだり、イベントに参加してたっぷり楽しんだ後は、お土産コーナーのmicca SHOPもチェックしてみましょう!子どもにも優しいスキンケア用品や、選りすぐりの絵本などが購入できます。
大人だけでは入れないので要注意
小学生までは入館無料。中学生以上の子どもと大人は1日200円です。葛飾区に住んでいなくても、子ども連れだったら世界中だれでも利用できます。
ただし16歳以上の大人だけでは入館できないので要注意!大人だけで行きたい場合は、ナイトイベント「おとなミッカ」の日を狙いましょう。
ミッカの入っている商業施設「リリオ館」の中には、スーパーや100円ショップ、家具屋さんや家電販売店なども入っていてお買い物にもとっても便利。駅からのアクセスも抜群です。
小さな図書館というだけあって、広い場所ではありませんが、親子でじっくり、そして何度訪れても楽しめる工夫がたくさん散りばめられています。ぜひ行ってみてくださいね!
ギャラリースペースにて、おでかけ!絵本ミュージアム『すてきな三にんぐみ展』を開催中
ギャラリースペースでは、2021年3月24日まで名作絵本「すてきな三にんぐみ」の展示を行なっています。絵本に登場するアイテムや風景など、体験型の展示がいっぱい!合わせてチェックしてみてください。
(2020年11月取材)
提供元・るるぶkids
【関連記事】
・子どもの未来を守るSDGsとは?簡単な遊びからサステナブルな取り組みを始めよう
・自由な「公園遊び」が子どもの運動神経を鍛えるのに最適!おすすめ公園もチェック
・数百匹の赤ちゃんに感動!カマキリの卵、孵化はいつ?産む時期・場所・育て方
・ニフレルを子どもと楽しもう!ホワイトタイガーなど動物が間近な新感覚ミュージアム
・ありがとう185系!南田さんと時刻表編集長が、JR東日本の運転士に話を聞いてきた[前編]