■大破したチェロキーが見つかる

 1週間後の2000年3月18日、リアの愛車であるジープ・チェロキーがワシントン州ワットコム郡のマウントベイカーハイウェイ近くの森で、地元住民のジョガーによって偶然発見された。明らかに転落事故を起こしており、車体は大破していた。

 カナダ国境とデソレーション山からそれほど遠くない場所だったのだが、ここはジャック・ケルアックの小説『ザ・ダルマ・バムズ』に出てくる土地で、リアは一度は訪れてみたい場所であると周囲に話していたという。

 車体と現場からリアの血液などはいっさい発見されず、リアが負傷した形跡も見つからなかった。そして何故か周囲の木の枝にリアものであろう女性の衣服が何着が結びつけられていた。また、窓を塞ぐように内側から毛布がかけられており、車内には枕もあったことから人が一定期間この事故車の中で滞在していた形跡もあった。

 車内にはリアのパスポート、財布、宝飾品などの貴重品、現金2,500ドル、猫用キャリア、キャットフード、運転免許証などのさまざまな持ち物が見つかった。ここからほど近いベリントンの町にある映画館のチケットの半券もあった。

 多くの警官と警察犬が動員されこの一帯が隈なく捜索されたが、リアの手がかりは何も見つからなかった。まるでリア本人だけがこの場から蒸発してしまったかのようであった。

【未解決】大破した自動車と謎の男… スピ系女子が突然消えた“リア・ロバーツ失踪事件”の恐怖!の画像4
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

■“バリー”という謎の男の存在

 車両の発見から数日後、いくつかの目撃証言が出てきた。

 ベリントンの映画館の近くのレストランで男と一緒にいるリアの姿を目撃したという証言も寄せられ、リアはその男のことを「バリー」と呼んでいたという。またワシントン州エベレットのガソリンスタンドでリアを見たという報告もあった。

 しかしこれ以外に、彼女に何が起こったのかについての手がかりは何も得られなかった。

 一方でさまざまな推測が渦巻き、有力な仮説としては、車両の事故は意図的なもので、道路から転落したときに車には誰も乗っていなかったとするものである。ジープのスターターリレーの電線が切断されていたことから、人間がアクセルをを踏まなくとも車を走らせる細工をすることが可能であったのだ。

 そして、窓を遮っていた毛布の奇妙さもあった。車内には枕もあり、誰かが一時的な避難所として車両を使用したことを示唆していたのだ。車内に多額の現金と貴重品が残されていたことから、その人物は少なくとも強盗ではなく、やはりリア本人であった可能性が最も高いという推測も成り立つ。

 また、一説では彼女はおそらく本当に車と共に転落して身体は軽傷だったものの、頭を打って記憶喪失を引き起こした可能性も主張されている。しばらく事故車の中に留まっていたのだが、いつしか車を出て森の中へと入り込み、迷ってどこかで遭難したというのである。

 はたして彼女は誰にも言わずにどんな動機で旅に出たのか。そして、今もどこかで生きているのだろうか。バリーという男が何かを知っているのか。2000年に起きた「リア・ロバーツ失踪事件」の今後の焦点は、彼女が何らかの事件に巻き込まれていた可能性で、リアの人間関係の中から何らかの新証言が得られるかどうかにもかかっているといえそうだ。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

※当記事は2022年の記事を再編集して掲載しています。

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