ピーター・クラモフスキー監督 写真:Getty Images

 かつて清水エスパルス、モンテディオ山形、FC東京を率いていたピーター・クラモフスキー氏は現在、マレーシア代表を指揮。6月10日に行われたAFCアジアカップ予選3回戦でベトナム代表を下したが、マレーシアサッカー界の現状に対する不満をあらわにしている。

 クラモフスキー監督は試合後、現地メディア『Astro Arena』のインタビューに対応。「もしこの試合で勝てなかったら、(マレーシアサッカー協会の)一部の人間は私を責め立てたはずだ。『あいつは下手な指導者だ』とね」と語気を強めると、こう述べている。

 「今、マレーシアのサッカーは分断されている。メディアもマレーシアサッカー協会も政治的な内部闘争を繰り広げていて、うんざりしている。私のプランの足を引っ張ろうとする人物もいる。サッカーが中心であるべきなのに。だから試合前、選手たちにはこう伝えた。『サッカーを通して国を一つにしよう』とね」

 クラモフスキー氏は2024シーズン限りでFC東京の監督を退任した後、2024年12月16日にマレーシア代表の指揮官に就任。2025年3月のアジア杯予選3回戦のグループステージ初戦からトップチームで指揮を執っており、その初戦ではネパール相手に2-0で勝利している。

 5月末から6月はじめにかけて行われたカーボベルデ代表との国際親善試合2連戦でも、1勝1分と好成績を残したマレーシアだが、FIFAランキングで格上の相手であるベトナムから4ゴールを奪取。クラモフスキー監督の手腕が高く評価されていると思いきや、協会内で反対派が存在している模様。チーム全体がひとつにまとまる傾向にあるJリーグ、日本サッカーとは事情が大きく異なるようだ。

 なお、アジア杯予選3回戦は2025年3月から2026年3月まで開催。24チームが4チームずつ6グループに分かれて、ホームアンドアウエー方式により6試合を戦うが、各グループ首位のみに本大会出場権が与えられる。2戦2勝と好スタートを切っただけに、クラモフスキー監督としては残り4試合の結果で周囲を黙らせたいところだ。