また、どのような退職理由であっても、共に働いた仲間や組織から得た学びに対する感謝の気持ちを忘れてはいけません。

人は一人では成長できません。上司の指導があり、同僚の支援があり、会社という環境があってこそ、さまざまな経験を積むことができたはずです。その恩恵を認識し、感謝と敬意を示すことは、人として大切な姿勢です。

守秘義務と個人情報への配慮も欠かせません。内部情報や営業秘密はもちろん、個人を特定できるような情報は避けるべきです。

退職後も守秘義務は継続しますし、不用意な情報開示は法的なトラブルに発展する可能性もあります。また、特定の個人を批判するような内容は、たとえ事実であっても避けるべきでしょう。

問題点を指摘するだけでなく、「こうすればより良くなるのではないか」という提案を含めることで、単なる愚痴や不満ではなく、建設的な議論のきっかけを作ることができます。

注意すべき落とし穴

退職エントリーを書く際に陥りやすい落とし穴もあります。感情的になって冷静さを欠いた批判や個人攻撃をしてしまうと、自身の評価を下げるだけでなく、場合によっては名誉毀損などの法的なトラブルに発展する可能性もあります。

退職直後は感情が高ぶっていることも多いので、少し時間を置いて冷静になってから書くことをお勧めします。

実績を誇張したり、事実と異なる内容を記載したりすることも避けるべきです。インターネット上の情報は半永久的に残りますし、嘘や誇張はいずれ明らかになります。

新天地への期待を述べることは自然ですが、前職と比較して優劣をつけるような表現は避けましょう。「前の会社はダメだったが、次の会社は素晴らしい」というような比較は、両方の会社に対して失礼にあたります。それぞれの組織には独自の文化や価値観があり、単純に比較できるものではないからです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。