内閣府が9日発表した2025年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.04%減、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で0.2%減となった。5月発表の速報値(前期比0.17%減、年率0.7%減)から上方修正された。個人消費など内需の上振れが主因だが、トランプ米政権の関税措置を受けた景気減速の懸念が残る。
内訳は、内需の柱である個人消費が外食やゲームソフトが好調で0.1%増(速報値は0.04%増)に上方修正された。住宅投資がリフォームの増加で1.4%増(同1.2%増)。民間在庫の寄与度は、原油や液化天然ガス(LNG)の積み増しで0.6%(同0.3%)に上昇した。
一方、企業の設備投資はソフトウエア関連が伸び悩み、1.1%増(同1.4%増)に下方修正された。政府支出や公共投資も下振れした。
外需は、輸出が0.5%減(同0.6%減)、輸入は3.0%増(同2.9%増)になった。
物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比0.9%増、年率3.6%増で、速報値(前期比0.8%増、年率3.1%増)から上方修正された。24年度の実質GDP成長率は、速報値と同じ前年度比0.8%増で4年連続のプラス。実額で559兆8703億円となった。
第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、4~6月期もマイナス成長を予想する。米国の関税引き上げによる、自動車を中心とした輸出の減少や、設備投資の抑制など、「悪影響が顕在化し、景気の停滞感は一段と強まる」とみている。
◇1~3月期のGDP改定値 ◇実質成長率 ▲0.0(▲0.2) 年率換算 ▲0.2(▲0.7) ◇寄与度 内需 0.8( 0.7) 外需 ▲0.8(▲0.8) ◇主要項目 個人消費 0.1( 0.0) 住宅投資 1.4( 1.2) 設備投資 1.1( 1.4) 民間在庫 0.6( 0.3) 公共投資 ▲0.6(▲0.4) 輸出 ▲0.5(▲0.6) 輸入 3.0( 2.9) ◇名目成長率 0.9( 0.8) 年率換算 3.6( 3.1) (注)かっこ内は速報値。数値は前期比伸び率%、寄与度は%。民間在庫は成長率への寄与度。▲はマイナス(了) (記事提供元=時事通信社) (2025/06/09-18:20)